02.オカルト研究会 八月七日の奇妙な夢の翌日、いつも通り部室を訪れると別のサークルに変わっていた。そして――
02-01 あ、磯野さんじゃないですか
オカルト研究会の部室の前で立ち
けれども、いま起きている
「
なんで人生の
そもそもそんなことって現実にありえるのか?
まるでこの状況自体がオカルトじゃないか。
ちくしょう。こうして考えてるいまも、二つの記憶がジワジワと
いまに
小中高のクラスや家での出来事、
映研とオカ研の入部
記憶に差異があるといっても一つ一つは
その記憶のなかでも、いちばんの違和感だったはずの存在、
と、霧島榛名は俺の気を
人が真剣に考えている
ちゃんと思い出せば、記憶のちがう
けれど、いまここではダメだ。この空間にいる俺をのぞいた四人の目線と無言の圧力の中、二つの記憶の確認なんてできるわけがない。まずはここから離れないと。
「磯野、どこに行くの?」
「ちょっと一人になりたい」
「待ってよ!」
俺は、
俺は一気に一階まで駆けおりた。誰かが追ってくるかと思ったが、
玄関を出ると相変わらずの
さて、昨日の色の薄い世界の夢といい、俺の頭の中ではなにが起こっているんだ?
そもそもオカルト研究会ってなんだよ。
たしかに大学の文化サークルなんてものは
……のだが、なんでうちの大学の文化棟三階の、しかもちょうど真ん中に部室を
――いま俺が置かれている、この異常な状況自体が夢なんじゃないか?
感覚はリアルだが、昨日見たあの色の薄い世界の夢だってリアルだったんだ。ということは、榛名がちばちゃんの姉だとわかるって、これって本当だとしたら
……いやいや、いまこれ自体が夢だろ? なにを馬鹿なことを……あれ? 俺はいま夢の中にいて……あーもう、わけが――
「あ、磯野さんじゃないですか」
聞き覚えのある声だった。だが、その
俺は顔をあげると、そこにはちばちゃんが立っていた。
けどなんでこんなところに? いや、こっちの世界ではオカ研メンバーなんだから部室に向かうところか。あー
もう一度ちばちゃんを見ると、ニコッと笑顔を返してきた。かわいい。
現実世界の記憶なら、言葉を発しただけで周囲がどよめくほどの、おびえたウサギのようなキャラだったはずなのに、次第にこの夢の世界の記憶に、体が
そんな目の前のかわいらしい少女に、
なんというか……気さくでいい子だな、ちばちゃん。かわいいし。
そうか。こっちの記憶だと、ちばちゃんは一年前の夏からオカルト研究会の部員で、その一年のあいだに気軽に会話できるくらいに打ち解けていたんだった。
入部して半年を過ぎた頃には
ちなみに、ふだんはちばちゃんと呼ばれているが、その呼び名は
そう、彼女の本当の名前は――
「
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