ギャルゲーライフ

Episode05．主人公or親友（サポート役）

　なんやかんやあって純司と逢咲は付き合うことになったらしい。ギャルゲーとは女子たちとの出逢いから付き合うまでの過程、そしてその後のハッピーな後日談を楽しむ。しかし、出逢い、攻略の先にあるものははたして本当に幸せなのだろうか。急接近してくっ付いたカップルってすぐに別れそうじゃん？

　親友想いの俺としては心配せずにはいられないってわけ。だから援護射撃を散散してやった。

　そしたら何か知らんけど殴られた。

　だから殴り返した。

　この後のことは想像に難くない。デジャブの嵐。基本的に前話の繰り返しだったから。

　でもやっぱりあいつは――純司は主人公に相応しい。

　ギャルゲーのテンプレを熟知したヤツほどこのクソゲーの主人公を張れるヤツはいないだろう。

　橘純司と逢咲奈那のカップルはラブラブすぎてウザいという領域にまで達しつつあった。

　――ピコン

　ん？　んん？

　思わず二度見してしまった。

　逢咲の純司に対する好感度が下がった……？

　この世界はクソゲーだ。そしてそのクソゲーの主人公には誰だってなれる。なるチャンスがある。チャンスは平等だ。平等でなければならない。

　だから次は――

「お前の番だな」

「俺は親友――サポート役なの」

「それは俺も同じだろ。お前の親友。だから今度は俺がサポートしてやるよ」

　――ピコン

　親友ポジ交代な、と笑う純司の隣で一緒に微笑む逢咲の好感度がまた一つ下がった。

　本格的に役回り交代の時が近いらしい。

　今度は俺が主人公に――

　――ピコン

　頭に鳴り響く音がどこか悲しく、そしてどこか儚く聞こえた。