Episode04.やっぱりお前は最高の親友
「何だよこの展開」
「やってみたかったんだよこの展開」
俺たちは高架下で対峙していた。
マジで何? この展開。今時、不良でも喧嘩場所としてこんな場所は選ばない……多分。不良と言う人種を全く知らないから何とも言えないが、俺の直感がこの展開は古いと告げていた。
「思い出さないか」
「? 何を」
「俺たちの初めての共同作業だよ」
「気持ち悪い言い方するな」
「事実共同作業だったろ?」
「ああ、まあな」
「今でも鮮明に思い出せるぜあの――」
「「スケバン乙女の裏バンルート攻略」」
声が揃った。
…………
……
…
思い出される『スケバン乙女』攻略の日々。あれはギャルゲーと言うジャンルに迷い込んでしまった反射神経ゲームだった。完全なアクション重視のゲーム女の子は可愛かったが、あんなものはギャルゲーじゃない。しかし、女の子たちに罪はない。攻略してあげる事こそが彼女たちへの礼儀だ。
しかし一人では到底クリアできそうになかった。その時現れたのが正吉だった。
俺たちは一目で互いが同士だと判った。理由はない。独特な雰囲気を纏っていたのだ。ギャルゲーマーとして洗練された俺の感覚がは只者ではないと訴えていた。
…………
……
…
何だこの回想。勝手に回想なんか挿みやがって、一人称も「俺」なんて言うからお前と俺との区別が読者につかないでしょうがぁッ!!
「何一人で怒ってんの?」
「俺の心の声に割り込んでくるな!」
テンプレな殴り合いを始めるには充分すぎる理由ができた。
「……で……このざまかよ」
はぁはぁ
「お前も……俺と大差ないだろ……」
ぜぇぜぇ
殴り合いと呼べるのか非常に怪しいへっぴり腰のパンチにキック。時々それらの攻撃がクリーンヒットする。低レベルな喧嘩。そんなものの決着が簡単につくはずがなく……今に至る。
ようやく俺たち主人公らしくなったよな、腫れた唇は震え、上手く言葉にできずに途切れ途切れに息を漏らした。
「憎まれ役買って出てやったんだ……ちゃんと告れよ」
「はぁ?……何言ってんだ」
「お前がリアルの女泣かせただけでここまで怒るとは思わなかったよ。好きなんだろ」
「俺は逢咲の事が好きなのか?」
「なんで疑問形なんだよ。多分そうだろ。俺彼女とか居たことねェから知らねェけど」
大の字に倒れた二人の男子高校生は笑い合名がらどこかで見たことあるシーンを再現しようと拳を合わせた。
――ゴン
「意外と痛いなこれ」
「ああ、慣れない事はするもんじゃないな」
俺は最高の親友を持ったよ。
ジンジン痛む拳を擦りながら二人で笑い合った。
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