作者様の異世界交流シリーズの中でも原点に当たる作品です。異世界間の相互交流が始まることになった壮大な世界改変の経緯と、意図せずしてそれを引き起こすことになってしまった主人公達の悲運を描きます。
主人公は90年代後半と2000年代初頭の日本の記憶を持って異世界に転生したものの、特に役に立つスキルがあるわけでもないごく普通の劣等魔法学生、ジウとチタの二人。進級試験の課題で「転生記憶を使って何でもいいからこちらの世界の役に立つ道具を作れ」と命じられた二人は、転生前の共通の趣味だった「テレビ」を模した魔法の鏡を作ることに。
発明したその鏡はしかし世界の法則をも歪める禁忌の技術で…。
多作品と世界観が繋がっているので、色々な糸が纏まるスッキリ感はもちろんのことですが、多作品を読まなくても十分楽しめる読み応えです。
何よりもただただエンターテイメントを追求したかった二人、普通の女学生だったの二人が歴史の渦に呑まれて徐々に変わらされていく様子が、淡々とした叙事詩形式とあいまって泣けました。ラストのチタは本当に胸が詰まりました…!