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災殃因果律っていうのは、わかりやすく言うと、悪いことを引き寄せる運命ってことね。つまりそれを持つ人がそこに生きてるだけで悪いことが起こると言われてるの。迷信みたいなものよ? もちろんあたしも信じてない。でも皇帝であるおばあさまには発言力がある。そのおばあさまが仰っていることだから、誰も面と向かって否定できないの。
レンがそれを持ってると言われているのには理由があるわ。あの子は産まれた時……聖気を持っていなかったの。そう、貴女と同じね? 咲ちゃん。前にも説明したと思うけど、この世界の人間は普通、聖気に満たされて産まれてくる。あの子がこの世界で産まれたのは間違いないわ。でも、だからこそ……城の中で迫害されることになってしまった。
時を同じくして、金糸雀国内では悪いことが続いたわ。謎の疫病、作物の不作、犯罪の横行……偶然よそんなの。あたしはそう思ってる。だけどおばあさまはそうじゃなかった。全部レンのせいにしたわ。レンが災殃因果律を持って産まれたせいでこんなことになった、そんな奴に帝位は継がせられないって。だから一時期国政も混乱した。
良いこともあったわ。最初こそ空っぽだったレンの中にも、そのうち少しずつだけれど聖気が満ちてくるようになったの。そう、まるで器に水が満たされるようにね。おばあさまが例外なだけでもともと帝位には男性がつくことになっていたこともあって、第一皇位継承権もなんとか、レンが持つことで落ち着いた。でもおばあさまの気はおさまらなくて、レンに色々な制約を与えた。あの子が直属の部下を持てないのもそう。棘縉ちゃんちで言ったように、結婚して子を成せないのもそう。その他にも細かい制限を挙げればきりがないわ。そう、まるで子どもの嫌がらせのよう……レンが望んで、そう産まれた訳じゃないのに。
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