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――っちゅー訳でごめんねぇ。あたしもホントは嫌なんだけどさ、色々と挨拶回りとか面ド……ゴホン! 責務があるからさぁ。あ! 何か美味しそーなもんあったらとってきたげよっか? 咲ちゃん何が好き? 肉? 野菜? 魚?
一人取り残された船内で、わたしは先ほど心底申し訳なさそうにしてきた紅さんを思い出す。だけど、わたしは全く気にしていなかった。むしろ、一人でゆっくり人心地つきたいところだったし、願ってもない空き時間がちょうど良い。ふと、窓から外を眺める。そういえば、空はこんなにも近いのに、考えてみれば下ばかり見ていて、ゆっくり上を見上げたこともなかった。身近にありすぎると、逆にその尊さは忘れてしまうものだわね……綺麗な星空に吸い寄せられて、わたしは思わず手を伸ばす。
コツン……。
「あ……」
指先が硬い物に当たる。それも当然だ、そこには窓があるんだから。
「外、出てみようかな……」
誰にとも無くそう呟いて、わたしは部屋を後にした。
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