第三幕 爽羽編

序章

画策

 〈サワくん、ごめん☆ボクやっぱオルハくん連れ戻すのやめるわ! ってゆーか、ボクも帰るつもりないから、そこんとこヨロシク♪〉

 レンハから一方的にそう告げられて数日。爽羽はなんとかしてレンハともう一度コンタクトを取ろうとしているが、一向に連絡がつく様子は見られなかった。人間の使用している携帯電話とやらでメールや電話も試みてみたが、返事はない。着信拒否されていないだけマシな状況とも言えた。

(ミイラ取りがミイラに……か)

 そっと溜め息を吐くと、爽羽は今後どうするかに思考をシフトした。最初から戦力として期待していなかったとはいえ、レンハの抜けた今、自分一人の力でオルハをなんとかしなければならない。オルハの執着は利駆の一点のみだ。そこに付け入る隙があるはず。

「まずは彼女とその周囲の関係性を洗い出すか……」

 闇夜にひとり、思案する爽羽の姿が浮かぶ。吸血鬼界から、最後の刺客が動き出そうとしていた。

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