不磨キラーX
千求 麻也
第1話
秋風の吹く冷たい倉庫街。ベージュのトレンチコートに身を包んだ男がボストンバッグを大事そうに抱えて歩いている。
倉庫街の片隅でブルゾンとワークパンツという作業着姿の男と落ち合う。どうやら何かの取引きにやってきたようだ。
「ブツは用意出来たようだな」
作業着の男はトレンチコートの男が抱えているボストンバッグを開けるように促す。
「かなりの上物だな」
「何でやるつもりだ?」
作業着の男は上着を少しめくり、内ポケットの中の物をちらりと見せた。
「そんな物で本当に大丈夫なんだろうな?」
「俺、失敗しないんで」
作業着の男は自信ありげに言ってボストンバッグを受け取り、倉庫街を後にした。
数日後、トレンチコートの男が再び倉庫街で作業着の男と落ち合った。
「やれたのか?」
トレンチコートの男が尋ねると、作業着の男がボストンバッグを開けた。その中には数日前とは変り果てた姿のものがあった。
「不磨のブシと言われるこのブツがここまで見事に透き通った削りブシになるとは……」
「俺は失敗しないと言っただろう」
「不磨キラーXか……名刺に謳うだけの事はあるな」
トレンチコートの男がボストンバッグを受け取ると、不磨キラーXこと小門未知夫は、前を開けたブルゾンを颯爽と翻し、倉庫街を後にした。
不磨キラーX 千求 麻也 @chigumaya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます