第50話 少女八龍城 我ら、カロリーメイト

 少女八龍城はかつて少女九龍城と呼ばれており、それはもう可憐な乙女たちが集う超巨大迷路女子寮だったらしい。

 管理人すら住人の数、建物の構造を把握しておらず、しかも超常現象が発生するのは日常茶飯事だったとか……。


 そんな少女九龍城に転機が訪れたのは今から100年ほど前だったと言われている。

 女子寮を守護している九つの龍神像の一つが何らかの原因によって破壊されたことにより、その土地に封じられていた道理外存在(アウトサイダー)があふれ出てしまったのである。


 道理外存在とはつまるところ、かつてはオカルトやファンタジーと呼ばれて、架空のものとされていた存在や現象のことだ。

 少女九龍城の壊滅は地球全土に影響を及ぼし、世界各地にあった封印の地を連鎖的に崩壊させ、こうして世界はありとあらゆる魑魅魍魎と怪現象が跋扈する文明の崩壊した修羅の大地と化したのである。


 少女九龍城も『少女八龍城』と呼び名を改めた。

 しかし、人類は……少女たちは絶滅していなかった。


 ×


「そっちにあったか?」

「ないなー」

「うーむ、ここはもう漁られてるのかもしれん……」


 少女八龍城の北端から直進すること10数キロメートル地点。

 二人の少女が古ぼけた押し入れを漁っている。


 小柄と長身の文字通りでこぼこコンビで、二人とも黄色のヘルメットをかぶり、つぎはぎだらけのリュックを背負っている。

 小柄な方は常に怒っているような顔をしており、その一方で長身の方は寝起きかと思うほどふにゃふにゃとした顔をしていた。


 二人とも動きやすそうな服装で身を固めており、世界が崩壊する100年前の人たちから見たら、面白半分で廃墟探索している女子高生にしか思えないだろう。


(でも、面白半分なんかじゃない)


 小柄な少女がすり切れたタオルで汗を拭った。


(これが私たちの生きる道なんだからな……)


 文明の崩壊した現在の地球において、人類の手による食料生産はほとんど行われていない。ありとあらゆる生物は死に絶え、森や川は砂漠となりはて、鉄筋コンクリートとアスファルトの残骸にわずかな生き残りが身を寄せている状態なのだ。


 そうなると、どうやって食料を調達するのかが問題になるのだが……その答えは少女八龍城の中にあった。


 少女八龍城の内部は時間が止まっている。100年前、女子寮を守護する龍神像が破壊された瞬間から止まっているのだ。そのため、当時の食料が新鮮なまま見つかるどころか、場合によっては手料理や生鮮食品まで手に入る可能性がある。もちろん美味しい食べ物や珍しい食べ物は高値で取引されている。


「ねえ、ミチル……わたしってばお腹空いちゃったよ」


 長身の少女がささくれだった畳に腰を下ろす。

 背負っていたリュックを下ろすとドスンと重量のある音を立てた。


「拾った食料の中から、何か美味しいものを食べようよ」

「お前なぁ……」


 ミチルと呼ばれた小柄な少女がため息をつき、それから長身の少女と向かい合うようにして畳にあぐらをかいた。


「ヒナ、私たちは一体なんだ?」

「え、なに? 哲学的な話?」


 ヒナと呼ばれた長身の少女がぽかーんとして首をかしげる。

 かと思ったら、いきなりニヤニヤとし始めた。


「強いて言うなら、この地上に舞い降りた最後の天使というか……」

「それはお前の妄想じゃないか」


 ミチルはカミソリのように細い目でヒナを見つめる。


「しっかりしろ、ヒナ。私たちは食料同志(カロリーメイト)だろ?」

「私は荷物持ちとして無理やり連れてこられただけじゃん」

「ちゃんと最後に給料をやってるじゃないか」

「お金じゃなくて食料そのままの方がいいんだけどな……」


 食料同志(カロリーメイト)とは少女八龍城に侵入して食料を集め、市場で売りさばくことを生業にしているものたちのことである。

 すなわち、食料同志にとって食料とは単なる食べ物ではなく大切な商品なのだ。


 ミチルとヒナの二人もそんな食料同志の端くれである。


 ちなみに食料同志になれるのは原則として若い女性だけだ。

 かつては女子寮だった少女八龍城が、男性や年配者の侵入を不思議な力で拒むのである。そのため、食料同志は文明崩壊後の世界を生きる少女たちの専売特許とも言うべき生き方なのだった。


「食べ物なんか腹の中に入ったらみんな同じだ」

「そんな味気ないこと言わないでよ」


 ヒナがリュックに手を突っ込んでごそごそと漁り始める。

 そうして取り出したのは――


「もう限界! 私は昨日回収したこれを食べるよ!」


 俗に『カップラーメン』と呼ばれているインスタント食品だった。

 ヒナはパッケージを眺めながらじゅるりと舌なめずりする。


「ラーメンがなんなのかは知らないけど、すごい美味しそうだよねーこれ!」

「カップラーメンはお湯を沸かさないと食べられないぞ」

「えっ!?」


 ミチルに指摘されて驚いたヒナが慌てて再びリュックを漁る。

 彼女が引っ張り出したのは『い・ろ・は・す』というペットボトル飲料だった。

 ただし、ラベルには『ももフレーバー』であることが表記されている。


「――って味ついちゃってるじゃん!?」

「この御時世、ミネラルウォーターは貴重だからな……」


 ペットボトル入りの無味無臭なミネラルウォーターは、同じペットボトル飲料であるお茶の二倍、甘いジュースや炭酸飲料の三倍から四倍近い値段でされている。それだけ加工されていない飲み水は貴重なのだ。


「それにこいつは食べなくて正解だ」


 ミチルがヒナの手からカップラーメンを奪い取る。


「これは『カップヌードルのシーフード』と呼ばれるタイプの中でも、さらに貴重とされている『ミルクシーフード』というレアものだ。そのため、普通のカップヌードルシーフードの五倍近い額で取引されている」

「そんな高級品なら、なおさら美味しいに決まってるじゃーん!」


 ヒナが目に涙を浮かべてミチルの体を揺さぶり始める。


「食べたい、食べたい、食べたいよぉーっ! ねえねえ、ねえってばーっ!」

「や、やめろ……力任せに揺さぶるんじゃない!」


 ゆっさゆっさとされて目をぐるぐるさせるミチル。

 そのとき、彼女のリュックからガラスの小瓶が転がり落ちた。


「ミチル、これなら食べていい!?」


 ヒナがめざとくガラスの小瓶を拾い上げる。

 小瓶の中は真っ赤な液体と赤黒いチップ状のもので満たされていた。

 ミチルはそれを目の当たりにして首を横に振る。


「ヒナ、それは食べられない」

「なんで!? ラベルに『食べるラー油』って書かれてるよ!?」

「それはあくまで調味料だ。白米とか、豆腐とか、うどんとか……味の薄いものにかけるのが基本だったと言われている。単体で食べても仕方がないし、開封したらぐっと価値が落ちるから絶対に手をつけるなよ」

「はぁい……」


 しょんぼりとして食べるラー油を返却するヒナ。

 それから何を思ったのか、彼女は急にミチルへすり寄ってきた。


「それじゃあ、代わりにミチルのことを食べちゃおうかな。きゃっ❤」

「三日間も風呂に入ってない女に迫られても困るんだけど……」


 ミチルは迫ってきたヒナの体をぐいと押しのける。

 二人の衛生状態は髪のごわごわ具合が如実に物語っていた。


「やーん、いけず!」

「はいはい」


 食料調達は今日で三日目である。

 少女八龍城の出入り口近くにある食料はほとんど回収されており、必然的に食料同志は深く侵入せざるを得ないのだ。

 もちろん、水場が見つからなければ行水することもできず、貴重な水分であるお茶や炭酸水で泣く泣く体を拭くこともある。


「休憩はこれくらいにして先に進むぞ」


 ミチルはリュックを背負いなおして立ち上がる。

 それから、四角い紙パッケージをヒナに差し出した。


「ほら、カロリーメイト」

「またこれか……いや、美味しいけどね」


 四角い紙パッケージを受け取り、ヒナもリュックを背負って立ち上がる。二人はふすまと畳のある部屋から出ると、ミチルの持つ地図を頼りに歩き出した。


 ヒナが四角い紙パッケージの封を切り、さらにその中にある金色の袋を破る。そこから出てきたのは黄色みがかったブロック状の栄養食だ。

 食事する時間すら惜しみ、とにかく体力を使う食料同志にとって、カロリーメイトのような栄養食は心強い味方で、ミチルとヒナも探索中はもっぱらこればかり食べている。


「私のつかんだ情報によると、この先にキッチンがあるらしい」

「わたしは地図が読めないから助かるよ」

「食料同志としてありえない発言だなぁ……」


 二人は板張りの廊下を真っ直ぐに抜ける。

 100年前の時点で壊れていたのだろうか、穴の開いている天井の所々から泥水が流れ落ちてきていた。

 落ちてきた泥水は床板を腐らせて大きな水たまりを作っている。そこに生きた魚でも泳いでいればいいのだが、残念ながら淀んで渦を巻いているだけだった。


 食料の豊富な少女八龍城においても生き物はネズミ一匹見つかっていない。植物はそこかしこに見られるため、それを持ち帰って育てようという計画もあったが、少なくともミチルは成功した話を聞いたことなかった。


「で、そのキッチンには食べ物があるの?」

「あぁ、もうすぐそこなんだけど――」


 廊下を抜けた先に四方を窓ガラスに囲まれた部屋が見えてくる。

 瞬間、ミチルはヒナの体を抱えて地面に倒れ込んでいた。


「ど、どうしたの!? いきなり積極的になって!?」

「冗談を言ってる場合か! 道理外存在だ!」


 二人は廊下の壁に身を隠しながらガラス張りの食堂を覗き込む。

 食堂にいるこの世ならざるもの……道理外存在を端的に表現するなら巨大な目玉だ。


 直径1メートルはある真っ黒な球体が空中を漂っており、その中心に赤々と血走った目が存在している。

 真っ黒な球体はガス状であるらしく、絶えず微妙に形を変えながら、近場の風景を歪ませるほどの異様な気配を放っていた。


「こ、こわっ……子供とかさらって食べそう……」

「あれは『バックベアード』とかいう妖怪だな」

「めっちゃ西洋チックな名前してない? 海外産なの?」

「そこまでは知らん。もしかしたら日本生まれかもしれないが……聞くところによると幼女の味方で、ロリコンをこらしめて回っているらしい。しかも、目でにらみつけられただけで人を気絶させることもできるとか」

「うーむ、わたしたちは美少女だけど幼女ではないからなー」


 キッチンの方からは微かに食欲を誘うスパイシーな香りが漂っている。

 ここには高値で取引される『アレ』があるに違いない。

 ミチルの食料同志としての経験が語っていた。


(でも、どうやってバックベアードを出し抜いたものか……)


 普通の人間……ましてや少女が道理外存在と正面からぶつかって勝てる見込みはない。

 抵抗するだけ無駄なので重たい武器は一切持たず、とにかく逃げに徹するのが非力な食料同志たちの常識なのだ。


 床に伏せているミチルの頭にヒナがあごをのせてくる。


「どうする? どっか行くまで待ってる?」

「あの落ち着きっぷりは居着いてる感じだな。退かさないと無理だろう」


 そこまで話し合ったところで、ミチルの頭にふと妙案が浮かぶ。

 彼女はニヤリとして自分のリュックに手を突っ込んだ。


「よし、ヒナ。あいつを追い払おう」

「マジで? ミチルって本当にお金のためなら体を張るよね。旧時代のお金なんていつ価値がなくなる分からないのにさ。それにそれだけ命懸けになるなら、日頃からもっといいものを食べた方がいいと思うんだけど……」

「食べ物なんて栄養になれば一緒だよ、はいこれ」


 ミチルが取り出したのは『食べるラー油』だった。

 彼女はそれをひょいとヒナに投げ渡す。


「もしも成功したら、お給料とは別にカップラーメンもつけてよね」

「もちろん、好きなものを持っていきな」

「よーし、やったる!」


 ヒナは床にリュックを下ろして、軽く伸びをして全身をほぐす。

 それから食べるラー油の瓶をタオルで包み、投石の要領で思い切り投げつけた。


 食べるラー油の瓶は窓ガラスを貫通して、キッチンを漂っているバックベアードの顔面に命中する。

 砕け散った瓶の中から大量のラー油と微細なニンニクチップがあふれだし、全体のほとんどを占めている巨大な目が赤に染まった。

 バックベアードはヘドロが泡を吹くような悲鳴を上げて、大暴れしながらキッチンを飛び出していく。


「よーし、決まった!」


 跳び上がるほど喜んでガッツポーズするヒナ。

 ミチルはぐっと背伸びして彼女の頭をヘルメット越しになで回す。


「よくやった! こういうとき、ヒナは本当に頼りになるなぁ!」

「えへへ、どうもどうも。でも、食べるラー油がもったいなかったなぁ……」

「食べるラー油よりいいものがあるさ。さあ、いくぞ!」


 ミチルはヒナを連れてキッチンに乗り込む。


 キッチンには調理台が複数あり、調理器具は同じものがいくつも転がっていた。

 一般家庭のキッチンではなく、大勢の住人を養う女子寮の調理場らしさが感じられる。そして、スパイシーな匂いの源は大型コンロに置かれている寸胴鍋だった。


「よし、開けるぞ!」


 ミチルは寸胴鍋の重々しいふたを取り払う。


 そうして二人が発見したのは寸胴鍋になみなみと入っている手作りのカレーだった。飴色のタマネギに大きめに切られたジャガイモとニンジン、それから柔らかそうに煮込まれているさいの目状の牛肉……実に家庭的な代物である。


「わーっ! これが伝説のカレーかぁ……でも、なんか固まってない?」


 ヒナがいぶかしげに目を細める。


「もしかして古くなっちゃってる?」

「いや、むしろ作りたてよりもいいくらいだ」

「……と言いますと?」

「これは『昨日のカレー』なんだよっ!!」

「キノウノカレー?」


 ミチルは全然理解できていないヒナに向かって力説する。


「昨日のカレーは『昨日の夜に作って一晩寝かせたカレー』の意味で、じっくり寝かせることで具材の甘みが染み出し、カレー全体のうまみとコクが増しているんだ。今は冷めたことで油の成分が固まっているが、これを温め直すとトロトロかつまろやかになる……つまり、めちゃくちゃ美味しくなるんだよっ!!」

「ミチル、めっちゃ早口だね……」


 寸胴鍋の隣にある炊飯器にはご丁寧にも白米まで用意されている。

 しかも、ふたを開けてみるとほかほかと湯気が立ち上っていた。


(これは……大儲けのチャンス!)


 ミチルは寸胴鍋と炊飯器を見下ろして舌なめずりする。


「昨日のカレーとご飯を持ち帰って、市場で『昨日のカレーライス』にして売ったら、かなりの値がつくことは間違いなし……くくく、これはよだれが止まらないなぁ!」

「あのー、ミチル? どうやって持ち帰るの?」

「へ?」


 ヒナの素朴な疑問を聞いて、ミチルは目が点になる。


「カレーは寸胴鍋にたっぷりと入ってるんだよ? 持ち帰るための入れ物もないし、わたしたちはそもそも持ち運びができて保存も楽なインスタント食品とか缶詰狙いで来たわけで……こんなの完全に予定外じゃん?」

「こんなときだけ正論をぶつけてくるなよぉ!」


 がっくりと肩を落としたミチルの頭にヒナがあごをのせる。

 その重みに抵抗することができず、小柄なミチルがよりいっそう小さくなった。

 そんな彼女の体をヒナがゆさゆさと揺する。


「ねえねえ、食べちゃおうよぉ! カレーライス、食べちゃおうよぉ!」

「うぐぐ、持ち帰れないのなら食べるしかないか……」

「きっと美味しいよぉ? 食料集めの疲れも吹き飛ぶよぉ?」

「……わ、分かった。なるたけ食べよう」

「やったーっ! ミチル、大好きっ! ちゅっちゅっ!」


 こうして二人はカレーを温めて食べることになった。

 運良く生きていたガスコンロを使ったのだが……ここでミチルにとって予想外の事態が発生した。

 というのも、暖められたカレーの匂いに引き寄せられて、そこら中から食料同志の少女たちが集まってきたのである。


 結局、カレーが完全に温まったときにはミチルとヒナを含めて、集まるも集まったり二十人近くの少女たちが集合することになった。


 誰もが大荷物を背負っており、動きやすさ重視のつぎはぎだらけの装備を身につけていて……それでいてどこか目をキラキラさせている。

 単に生活のために食料を求めているだけではなく、どこかに大きな夢を抱えた目をしているのだ。


 そんなものたちが二十人近く集まった以上は独り占めするわけにもいかない。ミチルとヒナはあとからやってきた少女たちにも一皿分を配り、さながら少女八龍城が少女九龍城だったときの如く、女子寮の食堂にいるような気分でカレーライスを食べるのだった。


「う、美味い……けど、お金にならない……しかも、おかわりできない……」

「わたし、カレーライスって初めて食べたよぉ! 世界一美味しい食べ物じゃなぁい?」


 キッチンの床に腰を下ろして、満足そうにとろんとした顔をしているヒナ。

 ミチルはぐったりと彼女に肩を預けていた。

 二人の前には舐め取ったかのように綺麗なカレー皿が並んでいる。

 というか、ヒナの方は本当に皿まで舐めていた。


「それは私もそう思うが……なんだろうな、この充実感と一緒にやってくる喪失感は……」

「わたしは世界一美味しいカレーライスが食べられて満足だよ。それに女の子ばっかりこんなに集まるのも初めてだよね。なんだったら、わたしはまた定期的にみんなで集まって食事会とかしたいなぁ~」

「くっ……おい、お前ら! あとで代金を徴収するからな!」


 ミチルはキッチンに集まった少女たちに向かって言い放つ。

 少女たちは「はーい」と気のない返事をして、それからまた各々くつろぎ始めた。


(こいつら絶対に払う気ないな……)


 なおさら脱力してヒナによりかかるミチル。


「あぁ、早く帰って風呂に入りたい……薄っぺらでもいいから布団で寝たい……」

「ねえねえ、ミチル」


 ヒナが不意にミチルの頬をツンツンする。


「あのヤバい妖怪を追い払ったんだから好きなものをくれるんでしょ?」

「約束したからね。なんでもいいよ」


 美味しいカレーライスはプライスレスな体験だったが、収支的には食べるラー油を失ったのでマイナスである。


 とはいえども、そんなことで約束を反故にするミチルではない。これでも食料同志の端くれとして、それからヒナの雇用主としてのプライドがある。空腹が満たされて色々どうでもよくなってきたのもあるが……。


「それじゃあ、わたしはミチルのことがほしいなぁ❤」

「はいはい、帰ったらね」

「マジ!? それ、本気にするからねっ!?」

「はいはーい……やばい、本気で眠くなってきた……」


 キッチンに集まった少女たちと同じように気のない返事をするミチル。

 そんな彼女に力一杯抱きつき、嬉しそうにほおずりするヒナ。

 食料同志たちののんびりとした時間はしばらく続くのだった。


(おしまい)

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