第5話 誰でもない、私という人間
「私がそうですけど。」
「あら、良かった。伝言を頼まれたの。 もう、病院には来ないでほしいと。」
「え、なんで?私はあの人に会わなければならないの。私の思いを伝えるために。」
「さぁ、私は知らない。先生がそう言っただけよ。伝えたからね。」
「ねぇ、待って。行かないで。」
聞こえたはず。でも、来たときよりも傲慢に、その人は姿を消した。
許せない。圭介くんと引き離すなんて許せない。
でも、力が無い。どうすれば良いのかわからない。だから、待とう。
「誰か来てたの?」
「ううん、来てないよ。」
「そう、話し声が聞こえたもんだから。」
「気のせいよ。私、少し寝るね。」
愛ちゃんは嘘つきだ。
誰か来た。
愛ちゃんになにか伝えるために。
その結果愛ちゃんは、傷ついた。
だから許せない。
でも、待とう。
愛ちゃんが待とうというなら。
病院では、あいつが寝ている。
愛ちゃんの事を忘れて。
それが一番許せない。
だって、愛ちゃんはこんなにも傷つきながらも、あいつの事を思ってる。
許せない。
少しだけ、待とう。
力が戻ったら、会いにいこう。
バラ事件、その後僕らは サクニジ @sakusaku0510
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。バラ事件、その後僕らはの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます