監視体制
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よこにながい
サフラン色の法衣をまとった導師と四人の祭官が姿をみせる。僧たちが聖室のまえにつくられた祭壇のわきにつくと、
ベランダのそとにひろがる夕暮れの田園風景の
ディヤーナ・マンディールの本拠地、パシュパティナートをかこむように設置された監視地点のひとつだ。マルチカムとよばれる迷彩柄の戦闘服に身をつつんだふたりの人物が、景色と一体化して任務を遂行している。長大な対物ライフルをちいさな砂袋で微調整し、
ふたつのスコープは、監視が開始されて以来、はじめてあらわれたブラフマン祭官をとらえていた。高度に暗号化された通信に狙撃手の声がのる。
『シェラ・ツーからJOC。ブラック・ブラヴォー・スリーに巨漢とおもわれる人物が出現。確認ねがう』
シェラ・ツーと名づけられた地点から送信された映像はネットワーク上をひた走り、さらに数キロメートル離れた農場の母屋へと到達した。
伝統的な外観の木造の建物だ。窓から
その中枢、設置された種々の機器とそれらをあつかう人員がつめるリビングルームに、かろやかな歌声がながれた。受信した映像は即座にマンハッタンの支局にある
『JOCからシェラ・ツー。九十八パーセントの確率で本人と断定されました』
応答をかえしたクレアは、仮想現実に表示された映像をみつめた。
切断された山羊の頭部は、黄金の器にのせられて花々でかざられた祭壇に運ばれており、たかれた炎をはさんで
サフラン色の法衣をきた祭官たちの中央にいる整った顔立ちの長髪の男が、導師ダレル・ウォルシュだ。ぐらぐらと上体をゆらしてうつろな
「やっと手がとどきそうね、炎に」
つぶやく彼女のとなりで、シュリは
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