ランカー
★☆★☆★
はてしない虚無が支配する空間にみちた濃密な
インドラジットからの報告をうけたラーヴァナが口をひらいた。威圧的な声が漆黒をゆるがす。
「
クンバカルナが肩をすくめ、ため息をついた。
「なあ、ラーヴァナの
「雛を
「じゃあオレはなにをすればいい?」
「インドラジットを手助けしてやれ」
「わかったよ。でも、ちょっとはたのしんでもいいよな?」
「すきにすればいい。インドラジット、お前が雛を誘いだして仕留めろ」
うなずいた幽鬼のごとき姿がきえた。おくれてクンバカルナの紗幕も暗転する。
「クンバカルナは強欲がすぎるな。少々かんがえねばならんか、我らの足手まといになるようであれば必要ない」
独りごちたラーヴァナの紗幕の明かりがきえると、世界は暗黒にとざされた。
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