第三章 El cant dels ocells

UFD08003-0302

「むかしは毎日のように嫌がらせをうけましたけど、ここ数年は本当にしずかだったんです。なのにどうしていまさらこんなことがおこったのか、私にはわかりません。……なぜ父は、殺されなければ、ならなかったんでしょう。

 家族思いのやさしい人でした。家をでた当時の私は、なにもわかってなかったんです。なぜ女性信者が出家をすすめられるのか。なぜ十代になったばかりの女の子が、神妃しんひとよばれていたのか。真実をしったいまでは、嫌悪感と怒りしか感じません。

 父は戦いつづけることで、私を救ってくれました。ですから今度は、私がたたかおうとおもいます。父の愛情と死を、決して無駄にしないように。私は勇気をもらいましたから。父と、……彼女たちから」

 事件一意識別子IUID:65d99261-f7bd-4037-b1c4-0e9a89a79904 通称「ピース・フォー・ファミリーズ代表殺害事件」捜査資料、統一連邦文書UFD08003-0302より

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