第7話だけど犬にはとっても弱いんだってさ
「あぁ~、マリオが日本人だったなんて」
花山が肩を落し溜息を吐いた。
「しかし探偵、今回は見事だったな。見直したぞ!」
ブタまんじゅうと花上、清野は旅館の前で迎えの車を待っていた。
「それにしても、良く寝たなぁ~。なんだ首筋が痛いぞ」
清野は首筋に手をやると小さな針を見つけた。針を手に取り
「麻酔針‥‥あいつまた私が寝てる間に、イタズラして事件解決したのか?」
ルミコが頷く。
「なんだどうかしたのか?」
「なんでもないです。ルミコ君、あいつは?」
清野は小声でルミコに訪ねた。ルミコはそれよりさらに小声で
「事件解決したから、空飛んで帰るって言ってた」
「2人で何の相談ですか?もう事件は解決したんですよ」
花上は2人のヒソヒソ話がまるで恋人同士に見えたのか脳天気に笑っている。
「2回目に集められた後から記憶がないんだ。事件がどうやって解決したか後で教えてくれ」
清野がそう言うとルミコは親指をたてニヤリと笑った。
「それにしても助手!タライはなんなんだ!」
ルミコはブタまんじゅうをチラリと見て
「‥‥‥」
あまりに小さな声だったのでブタまんじゅうには聞き取れなかったが、清野には聞こえたようだ。
「あっ、車来ましたよ」
清野とルミコはタクシーに乗り込んだ。
「おい助手!なんて言ったんだ!」
「いや~、警部補良かったですね~」
清野は窓を開けそう言うと、不適な笑みを浮かべた。
そしてタクシーは走り出して行った。
その時だ!
ガゴーン!
佐藤の頭にタライが落ちて来たのであった。
「あいつら最後の最後まで!人をおちょくりやがって!」
怒り震える佐藤。花上はその側に落ちたタライを拾い、少し笑みを浮かべながら
「ふふふっ、警部補。そうでもないみたいですよ。」
そう言うと花上は佐藤にタライの底を見せた。
そこにはメッセージが書いてあった。
【また会いましょう‥‥】
「あっ、あいつら…」
そのさりげなメッセージに佐藤の怒りも吹き飛んだ様だ。
「あれ?」
「どうした花上!」
「なんかよく見ると小さくなんか書いてますね。続きがあるようです。えーと…」
【また会いましょう、ブタスペシャルへ】
「コケー!」
佐藤は興奮がMAXに達し、鶏のようになっていた。
そんなコミカルな情景はよそに、暮れゆく夕陽は美しく、事件の終わりを告げるよう、おだやかな色合いで彼らをやさしく包みこむのであった。
そんな夕陽も、鶴亀旅館で様々な謎を張り巡らせた怪盗ヒゲゴリラが、結局誰も来ず、全てが無駄に終わり泣き崩れているなんて知る由もなかった…
そう、コロ助だってハクション大魔王だってエスパーマミの高畑君でさえも…
完
悲しみのマリオネット殺人事件 ごま忍 @SUPER3mg
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます