崩壊構築
何をするべきか何から始めるべきか分からないでいる。
むしろ分からないまま好きな事だけを惰性に続けたいとさえ思う。
よく聞く、始まりの終わりのフレーズが頭の中で木霊するけれども、それさえも自身の内側を抉るだけで何も生みやしなかった。
ただ毎日が続いていく
蓄積されていく何かが澱んでいく
水よりも泥のようで身体にへばりつく
答えがでないまま今日も嘆いて嘆いて恐ろしくなる。
怖いのは自分自身だ。
このまま摩耗して支える何かがなくなれば正しい人間ではなくなる、と。
あれ、ただしいにんげんとはなんだっけ
約束や決まり事を守る人、大切なものを大切にして、大事なものを大事にして、
失わないように努力をする。得るために対価を支払う。回る、回せる人。
それが、ただしいにんげんだった、ような
見えないふりをしないと、そうしないと崩壊してしまう。
私が私でなくなってしまう。
わたしとはなんだっけ
しゅみ、なんだっけ
きょうは、なにをするんだっけ
ごはん……えっとそうじにおふとんほして……
からだがおもい……
普通の人になりたかった。どこで間違えたか分からない。
周りのせいにしていいなら周りのせいだ
私のせいなら私のせいで、全部のせいなら全部
国が悪いならそうで、世界が悪いなら世界を壊さなきゃ
それさえも面倒くさい。一番簡単な方法が今日もニュースで流れている。
羨ましい、その一番簡単な方法は何かのせいにするより難しい。
私には難しい。今日も泣きそうになりながらニュースを見た。
一応、ニュースは見ておく。でないともっとおかしく成りそうだから。
おかしくなったら私が一番嫌いな事をしそうで、そう他の人から大事なものを奪う事。
それだけは、それだけは嫌だ。
大事なものを踏みつけられる痛さを知っているから。それだけはしたくない。
そして死ねない。
死ねた子たちは凄い。だって怖いもあるし幸福と感じるのもあるし、その一歩が経験しないと分からないくらい重い一歩だから。
わたしは
しんだら、これが止まってしまう。
いま、しがみついて複数の自分を保とうとしているこれ
昔から描いていたこれ、ああ、和らいでいく。澱みが消えていく。昇華でいいのだろうか。
泥が尽きるまで、私は私でいられる術をこれにする。
まだ不安定だけれども、まだ生きていたい。
まだ文字を見ていたい。まだ私で居たい。
自由散文詩掌編『崩壊』 朶骸なくす @sagamisayrow
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