第2話 夜
夜が好きだ。
静寂と暗闇が支配する世界がたまらないほど好きだ。
だけど、最近では夜に対しての新たな見解が出てきたような気がする。その理由は僕が持つ精神疾患が関係しているように思える。日内変動、これは平たく言えば、朝と昼が辛く、夜になると安定すると言う物だ。
特に苦しみがマックスになるのは十時から十二時、十四時から十五時にかけてだ。ただ、ひたすら、助けて、の言葉が全身を支配し、汗がダラダラ噴き出てくるような感覚に支配されてしまう。
一時期、職を失って、ほぼ毎日家でゴロゴロしていたときの苦しみは尋常ではなかった。何もしていない自分に不安を抱き、まだ見えない未来に怯えていると、声が全身を駆け巡り、只々、毎日が辛くてしょうがなかった。
今はどうにか、アルバイトだけれども、仕事をしているから、以前のような苦しみは襲っては来ない。
でも、時折、声が聞こえてくる。其のたびに、僕は、ごめんなさい、と言って仕事をしている。
でも、夜になると聞こえてこない。
ああ、いっそ世界中が夜であってくれたら良いのに。
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