第6話 「影」
「まぁ、たった 数時間でころっと意見が変わるものだわ」
薄ピンクっぽい空間にある井戸とワールドが一人井戸の縁に座っている。
ワールドがいった通り、確かにレイキはワールドとつい先程、この井戸の中で会話をともにし そして 二度と来ないと宣言したばかりだった。
「あぁ、さっそだけど過去に戻りたい、どっちが過去に行ける未来だ?」
「まって!、そう急がないでほしいわ、説明しなきゃ行けないことがあるの、過去を遡るにあたって重要なことだわ」
レイキはその言葉に耳を貸して聞く。
ワールドもそのレイキの反応を受け取り話を続ける。
「過去を遡るにあたって絶対守らなければ行けない事があるわ」
「それは?」
合いの手のように入れてレイキは問う。
「別に過去を遡る事は口外してもいいわ、でも守って欲しいのは過去は変えても歴史を大きく変えては行けないこと、この時代の歴史は、すでにこうあるべきと決まっているの。それをあなたの都合で変えるのは私は許さないわ」
「なるほど てっきり口外するなと言うと思ったのだが、歴史を大きく変えるなときたか、、、、でもそれって人によって受け取り方が違うと思うんだけどその点はどうだ?ワールド」
「それは、こっちで判断するわ、まぁ細かいアドバイスは私の精霊の使い達をあなたに同行させるわ、お前らお呼びだわ、、、、早く来るのよ」
ワールドが口笛を吹く。すると、3匹の小さい黒影が井戸から出てくる。近くに来るとその姿も判明し、一匹は犬、犬種はチワワといったところか、もう一匹は動物では
なく小さい人間だ小人とでもいうべきであろう。そして、もう一匹はちっさいドラゴンだった。
「紹介するわ、左からティワワ、ピタパン、ドラコニカよ、彼らはあなたが時間を浮遊するにあたり様々なことをサポートしてくれるわ」
「よろしく、なのだ」
「レイキさん、よろしくお願いします」
「ガルルルル、ビギァァァ」
最後のドラコニカに至っては喋れていないが、3体とも個性が強い、、、、がどれも可愛らしくてオトモと言えばオトモっぽい、しかし、3体とはどこぞやの昔話か、犬、猿、雉の猿と雉が小人とドラゴンに変わっただけだ、そこだけを異世界っぽくして、リアル桃太郎にレイキはなってしまった。
「それで 鬼退治でもすればいいのか?こいつらと?」
「鬼?それはよく分からないけど 結構強いわよ彼ら 全員イルよ」
驚いた。因みにイルとは魔法の全属性に特化している属性であるがギルス曰く村でもバディグだけだとか、、、、
「そんな希少なやつら3体も俺のオトモでいいの?!」
イルとが3体もオトモもなると半ばチートではないか。
それはそれで心強すぎるものなのだが、
「えぇ、良いわ、しかし彼らはほぼ気分屋だから手伝わない方が多いわ、、、、残念だけど難所は自分で頑張んなさい」
「気分屋かい!せっかく無敵になれたと思ったのによぉ、、、、まぁとりあえずよろしくなお前ら」
「ワン!なのだ」
「よろしくです」
「ガルルルル」
テンポよくオトモ達の挨拶が済み、レイキは「よし、」と言う。
ワールドは「?」と言うのがベストと言うほどの顔である。
レイキは続ける。
「んじゃもう いくぜワールド」
「武運を祈るわレイキ」
レイキは一歩ずつ気持ちを高め歩幅を進める。
その揺るぎない決心は誰にも止めさせない、止まらせない誰も死なせない、
そうしてレイキは井戸に飛び込もうとすると、
「レイキ!」
と、ワールドに呼び止められる。
「んだよ、、、、まだなんかあんのか?」
「そっちは未来にいく井戸よ」
こんな醜態があるだろうか?恥ずかしくなりレイキは急いでもう一個の井戸へと飛び込んだ。
スルッと井戸から出るとそこにはまたしても井戸がある。
それも、7個。
「どれに入ればいいのかわかーねーんすけど」
単純にレイキはそう思った。
すると、後ろからティワワが飛び出した。
「いーかー?左から 1秒 1分 1時間 1日 1週間 1年 1世紀の順だよ わかりやすいでしょー?」
エッヘンと腰に手を当て胸を誇るティワワだが、その姿がむちゃくちゃ可愛い。
レイキはみとれながらティワワの話を聞いた。
「んじゃ俺が入るのは一日前だなつまり、左から4つめで大丈夫だなティワワ」
「うん、間違いないのだ!」
「よし、じゃあいくかお前ら!」
「行くなのだ!」
「いきましょう!」
「ガールルルルル!」
いい返事が三回帰ってきたのを聞いてレイキは颯爽と井戸に飛び込む水泳の飛び込みのようにレイキは頭に突っ込み井戸の中を猛烈なスピードで抜ける。
「待ってろよぜってぇー救うから!」
井戸の中でその声が響き渡った。
井戸からスポッと出ると入った時とさして変わらぬ景色がレイキを待ち受けた。
「これ、ほんとに1日前に戻ったよな?」
「心配はないですよレイキさん、ここは確かに昨日の世界です」
そう、ピタパンが答える。
レイキはそれを聞きそっと胸を撫で下ろして一歩ずつ踏み出すのだった。
村へ戻ると確かに死んでいたはずの村人達が全員蘇生されていた。
レイキはしばらく村を見渡し、村人の安否に安堵していると近くへ居たヒダリが辺りをキョロキョロしていて、レイキを見つけすぐさまダッシュして寄ってくる。
「あののの!レイキさんこんにちはです!どーもヒダリです。」
「はい、わかってますよヒダリちゃん どうしたの?滅相もない顔して」
「あののの、、、、実は、、、、」
「実は?」
ヒダリは言おうか言わないかで迷っているような顔をする。
思いきって打ち明けるようにヒダリは口を開く。
「その、ミーギがいないのです!」
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「ミーギどこだーいるなら行ってくれー」
「ミーギ、ヒダリの声が聞こえる?」
30分程ミーギを探し続けているが、右を左を探してもミーギはいない。ヒダリはいるが。
「レイキさん、なんか今くだらないギャグを考えているような顔をしていました。ちゃんと探してください!」
「えぇ!お見通しかよ!スペックすげぇなヒダリちゃん」
「私は顔でなに考えてるか分かるんですよ!、、、、多分」
多分。っていう所が子供っぽくて可愛らしい。
あくまで可愛らしいだけで会って、ロリコン的な趣味はレイキには決してない。そう、決してない
「、、、、よな?」
不安になってきた、大丈夫だ、ロリコンじゃない、よし、探そう、ミーギ探そう。
「てか、あいつはどこいったんだ?ヒダリちゃん普段ミーギが行くところは探したんだろ?」
「はい!そうでございます。でも、村中探してもいないので、もう井戸しかありません。」
(井戸は無いとティワワは思うのだ!)
急に頭にティワワの声が響く。先程、この井戸から村へ戻ろうとしたときに
「人目につくと何かと困るのだ!」
「あんまり人に触れたくないです。レイキさんとワールド様以外」
「ピギァァァァァ、ガールルルルル」
と言う理由で3体のオトモは精霊によくありがちな小さな魂に変わってレイキの頭に入り込んだのだ。
別に特別、異変があるわけではないのでいいのだが。
耳じゃなく頭に音が響くのは以外に不快なものである。
まぁ、とりあえずそれはいいとして、ティワワの言ったことにレイキは共感できた。根拠が無くとも子供があの見た目おぞましい井戸の方まで行くとは思えまい、それは直感でレイキも感じる程だからだ。
そんなことを考えているうちにレイキとヒダリは井戸に着いていた。
「着いたな、、、、ミーギ!いないかー?」
「ミーギいるなら言ってー!」
レイキ一行の叫びからはや5秒、誰の反応もない。
「あののの!やっぱりいないんでしょうか?」
「しっ!、まて、向こうの草影から物音がする!」
確かにレイキにはその音が聴こえていた。
ガサガサいうように。
レイキはそーっと歩みより、刀に手をかける。だんだん草むらに近づくとそれにつれて少しずつその影が見えてきた。
そこにいたのはミーギだった。
「ほーら、ここにいたぞヒダリ」
「ミーギ、もう、こんなところでなにしてんのよ?」
ミーギはそれに深刻そうに答えた。
「俺ねみちゃったんだ。怪しい人影」
異世界でタイムトラベル @keraapi
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