とある学問と小説についての一考察
いわのふ
とある学問と小説についての一考察
□□□ その一 数学者に対する一考察
何がすごいといって、オイラーという人はすごい訳ですよ。文系の方は忘れてしまったかも知れないけど、ネピアの定数eというのがあり、また虚数単位iというのがあります。ここにおなじみの円周率πがあります。で、それらが単純な式で表されてしまいます。このサイトは
つまり、iとπをかけ算してeのべき乗、ようするにeをi×πの回数だけかけ算すると答えはマイナス1になりますよ、と。e、πは超越数、つまりいくら計算しても次のケタにどんな数字が来るか分からない不思議な数です。虚数は二乗して負の数がもしできたなら、という仮想的な数値単位です。なんでまた、超越数と仮想的な数値が関係してるのか、分からないわけです。分からない、というのは数学的に証明できないのではなくて、その式の意味するココロが分からないのですよ。
恐るべし。この単純な式に不可解なe,i,πの三つが含まれた上、計算したらマイナス1、なんという答え。
□□□ その二 化学者に対する一考察
第一次大戦で資源のないドイツはとても困っていました。
こころを痛めたフィッシャー、トロプシュといった方がなんとまあ石炭から石油を作る方法を発明してしまいました。
戦後も研究され、今に至っても石油なきあとの有望な手段として期待されたりしてるわけです。
そのほかにも大戦前にはハーバー、ボッシュがアンモニアを合成し、火薬(当時は硝石が必要でした)を地下資源に頼ることなく合成する方法も考えてしまいました。ついでに窒素肥料まで合成してしまい、食料の大量生産が可能になります。
また、第一大戦後の賠償金を支払うため、海水から金を作ろうとした人もいましたが、調べてみたら海水中の金は思ったより少なくてこれは失敗しましたが。
まあ、ドイツ人というのはすごくて、なければ錬金術あがりの技術で作ってしまうわけです。
□□□ その三 物理学者に対する一考察
何がすごいって量子力学の発見ほどすごいものはないわけです。
今もってその正体にはわからないところが多く、この分野ではアインシュタインすら同僚の物理学者にやり込められて、引っ込んでいます。
完璧なサイコロがあったとしましょう。一から六まで全部の面が等面積の。これを振るわけです。じゃあ、アインシュタインやニュートンは次に出てくる数字は、人間の指の位置とか、振るときの角度とか速度とかそういったものが分かれば、必ず予言できると考えたわけです。
でも、出る目は確率的であると証明してしまった。どんなに正確にサイコロ作ったって、かならず不確定な要素が発生して、次の目を「完璧に」予測することはできないんです。
人間の認知性限界を示した初めての例で、このような例はそのあとに別な学問でも発見されています。
□□□その四 小説を作る者に与えられた課題
では、上記を踏まえたハードなSFを作ろう、なんて不真面目に考える私みたいな人にとっては、とっても荷が重くて、なかなか書けないのですねえ。不思議だ、という付け入る余地が残されてるだけましなわけですが。
それを理由に「hの変動する世界」の内容を膨らませられずにいるのですが。
とある学問と小説についての一考察 いわのふ @IVANOV
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