+第2話+
「ちっ、こんだけで倒れるなんてつくづく人間はめんどくせえな。」
彼は私を見下ろし、舌打ちをした。
その時私は初めて後ろにいた彼の顔を見た。
切れ長の赤い瞳と漆黒の髪は透けるような白い肌に合っていて、顔立ち自体は整っているように見えた。
…だが。
「ちょっ…え…?」
彼の体はあくまで浮いていた。
はっとしてもう一度彼を見るとさっきは辺りも暗いせいで気づかなかったが黒い羽が生えていた。
「あなた…一体何なんですか?!」
「めんどくせえな。だから言ってるだろ?俺は悪魔だって。」
…私の思考回路は全く追い付きそうにないみたいだった。
「じゃあもう一度確認しますね。」
ここは私の部屋。
彼は私以外の人には見えないというので外はなんだと思い、家にあげたのだ。
「貴方は悪魔で、私はその悪魔の厳正な審査から選ばれた…僕?でしたっけ?」
「そうだ」
「えっと、具体的に僕とは?」
「俺の人間界での任務を全うするために補佐する役目だ」
「その任務っていうのは?」
「もちろん、地獄送りの任務だ」
じ…地獄送り…
私は愕然とした。
悪魔だしそういうことかなって思ってたけどほんとにそうだとは…!!
「それって私はその人殺しの片棒を持つってわけですよね?」
「人殺しじゃねえ、任務だ」
そう冷酷に言う彼に私はぞっとした。
「…お断りします。」
「はあ?」
突然の私の言葉に悪魔は不服の声をあげた。
「私そんな非人道的なことはできません。お帰りください。」
私はすっと立ち上がると窓を開けた。
「空飛べるんでしょう?早く出てってください。」
すると突然だった。
「っ…?!」
首筋にさっきのような強烈な痛みが走った。
「お前がどれだけ嫌がろうとも関係ない。」
私が痛みに悶えていると彼は私の側に寄ってきて鏡を差し出した。
「もう契約は済んでいる。」
私の目に飛び込んできたのは首筋で光る赤い刻印だった。
欲愛。 伊藤杏 @Mayomayo39
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