+1話+
雷雨の激しい夜だった。
私は学習塾の帰りで暗い住宅街を通って家路を急いでいた。
ここ最近雨が降るのは珍しく、私はうんざりしていた。
癖毛体質の髪も湿気で荒れ放題だし…
心の中で文句を垂れていたそんなとき。
暗い空が一瞬赤く光ったのだ。
私は足を止めて空を見上げた。
しかし空はもう赤く光ることはなくて。
「なんだったんだろ…」
私がそう呟いたその時。
「安藤小夏。」
そう名前を呼ばれたかと思うと後ろから私の首には手が回された。
冷たく氷のような手は一層私を恐怖させた。
私が動けないでいると
「お前は厳正な審査から俺の僕として選ばれた。」
彼はそう言うと私の首筋を噛んだ。
「んっ…!!」
一瞬訪れた快感は束の間。すぐに強烈な痛みがやって来た。
そして私は首の拘束が解かれたかと思うと傘を手放し、そのまま地面に倒れこんだ。
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