指名打者(DH)について


※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。



●指名打者(DH/Designated Hitter)とは

 指名打者はピッチャーの代わりに打撃を行う選手。


 指名打者ありの試合でも、指名打者を使わない事が出来る。反対に、指名打者なしの試合で指名打者を使う事は出来ない。仮に指名打者を4番に入れていたら、4番以外を指名打者にする事は出来ない。


※試合中でも「サードとファーストの守備位置を入れ替える」は出来る。「サードを指名打者に回して指名打者をサードにする」は出来ない。


※指名打者に代打や代走を送る事は出来る。代打や代走で出た選手は指名打者を引き継ぐ。


 プロ野球においてもメジャーリーグにおいても、2リーグ中1リーグ(パ・リーグとアメリカンリーグ)が指名打者制を採用している。


※新型コロナウイルスの影響もあり、メジャーリーグでは2020年は両リーグでDHを導入。


※メジャーリーグでは、2022年もユニバーサルDH(両リーグでDH制)が導入される。詳しくは後述。


 アメリカンリーグで導入されるようになったのは、人気が低迷しているチームが多い状況を打破するためだったらしい。そして、指名打者制の導入は成功を収める。日本では、セ・リーグ(人気低迷中?)でも導入するという話があるとかないとか。


 バッティングが得意なピッチャーが先発する時は、あえて指名打者を使わずに試合をする事もある。ただし、稀なケース。


「指名打者を使わなくていいと思ったけど、試合の途中から指名打者を使っちゃおううかな~」は出来ない。逆に、試合の途中から指名打者を使わない事(指名打者の解除)は出来る。


※2022年のメジャーリーグでは、特殊なDH制が採用。詳しくは後述。




●指名打者の解除

 指名打者を解除すると、出場中の選手が10人から9人に減少。出場していた選手が1人以上退く事になる。 


 ピッチャーが打席に立つ(もしくはピッチャーの代打で選手を消費する)ので、指名打者を解除するメリットはあまりない。

(打撃がいいピッチャーがいるなら別)


 以下のような方法で、指名打者を解除する事が出来る。



・登板中のピッチャーを指名打者の打順に入れる

 指名打者はピッチャーの代わりに打撃を行う選手。登板中のピッチャーが指名打者の打順に入る(代走で出た場合を含む)と、指名打者はお役御免になる。


 なお、登板中のピッチャーは、指名打者じゃない選手の代打・代走にはなれない。


 登板していないピッチャーが指名打者の代打で出た場合は、指名打者は解除されないまま。

(指名打者に野手の代打を送る時と同じ)



・指名打者を守備に就かせる

 指名打者が解除されれば、指名打者なしの試合のようにポジションを変える事が出来るようになる。

(指名打者以外の野手は、解除前からポジションを交換出来る)


 指名打者をピッチャーとして出場させる場合、打順は変わらない。4番に入っていたなら「4番・指名打者」から「4番・ピッチャー」になる。


 指名打者をピッチャーにしないなら、1番から9番までの好きな打順にピッチャーを入れる事になる。

(その打順に入っていた選手はベンチに退く)



・登板中のピッチャーが野手になる

 登板していたピッチャーは任意の打順に入り、その打順にいた選手は退く。代わって登板するピッチャーも任意の打順に入る事になる。退かせるのは指名打者である必要はないので、指名打者を守備に就かせてもいい。



・野手がピッチャーになる

 仮にサードをピッチャーにするなら、サードが空く事になる。


 サードには「登板していたピッチャー」「指名打者だった選手」「他のポジションを守っていた選手」「控え選手」が入れる。


 指名打者に守備をさせないなら、指名打者が入っていた打順が空く。「登板していたピッチャー」や「控え選手」が守備に就く際は、空いた打順に入る。


※「他のポジションを守っていた選手」がサードに入っても、その選手の打順は変わらない。その選手が守っていたポジションには、誰か別の選手が入る事になる。



 基本的に、二刀流の選手(ピッチャーも野手も出来る)を除けば、プロ野球で野手をピッチャーにする事はない。


 一方、メジャーリーグでは、大量にリードされている時に野手をピッチャーにする事は割とある。日本人野手がピッチャーをやった事もある。

(指名打者なしのリーグでも野手が投げる事がある)


 高校などでピッチャーをやっていた野手は多く、ピッチャーでプロに入ってから野手になった選手も多い。一方的な試合になると観客も飽きると思うが、野手が登板すると盛り上がる。


 メジャーリーグは試合で使える選手が(事実上)少ないので、敗戦処理のピッチャーはいない。野手に投げさせる事で、リリーフ陣の負担が軽減する。


「試合に出場出来る選手について」はコチラ(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054884389707




●指名打者の有無で戦い方が変わる

 指名打者なしだと先発出場する選手は9人だが、指名打者ありだと10人。どちらの場合でも、ベンチ入りは25人まで。


 指名打者なしの方が控え選手が1人多くなるが、ほとんどの試合でピッチャーに代打を出す場面がある。


 指名打者制を採用している試合では、ほぼ全ての試合で指名打者を使う。「指名打者を使った方がいい」と考えられている証拠だと思う。



 指名打者の有無によって、ピッチャーが打席に立つかどうかが変わる。


 指名打者ありなら、ピッチャーは打撃や走塁をする必要はない。攻撃中に交代する(降板する)事もない。「デッドボールを当てられる」「自打球を当てる」「ボールを打った衝撃で手が痺れる」「走塁で疲れる」などもなくなる。


 打つ負担は減るが、野手9人との対戦になるため、投げる方では負担が増える。


 ピッチャーの成績を見る際は、所属するリーグの指名打者あり・なしも考慮した方がいい。特に、先発ピッチャーの防御率や奪三振数などは、指名打者の有無で大きく変わって来る。


 指名打者なしの試合では、早々と降板しない限り、先発ピッチャーは何回か打席に立つ。

(中継ぎのピッチャーが打席に立つ事は少ない。たいていは代打を送られる)


 ピッチャーからはアウトを取りやすいので、指名打者なしだと防御率や奪三振数などの成績が上がりやすい。チャンスの場面でピッチャーに打順が回ると、それまで好投していたとしても、代打を送られる事が多い。

(もちろん、点差などの状況で変わる)


 ピッチングの内容だけでなく、攻撃の都合で交代せざるを得ない事があるのだ。一部の例外を除けば、ピッチャーより野手の方が打撃が上手い。


※ピッチャーの中には、1試合でノーヒットノーランと3打席連続ホームランを達成した猛者もいる。




●ダブルスイッチ

 指名打者なしの場合、ピッチャーを交代する際にピッチャーの打順を考慮する必要がある。


「ピッチャーの交代と同時に野手も交代し、野手が入っていた打順にピッチャーを入れ、ピッチャーが入っていた打順に野手を入れる事」を「ダブルスイッチ」と言う。



 次の攻撃が8番からで、ピッチャーAが9番に入っていたとする。交代で出るピッチャーBを9番に入れると、すぐに打順が回る事になる。一方、打順が回るのが最も遅いのは7番である。


 ピッチャーBに次のイニングも投げてもらうなら、このピッチャーに代打を送る事は出来ない。このような場合、9番に野手を入れ、回るのが遅い打順(7番など)にピッチャーを入れればいい。


 指名打者なしの試合では、上手くダブルスイッチをするのも重要になってくる。




●日本ではパ・リーグ(指名打者あり)が強い

 近年の「パ高セ低(パが強くてセが弱い)」は、指名打者ありのパ・リーグでピッチャーもバッターも育っている事が要因かもしれない。


 指名打者ありだと、ピッチャーは1番から9番まで野手との対戦になる。

(指名打者なしだと、代打や代走を出さない限り、1人はピッチャーになる)


 高い実力を持っているピッチャーじゃないと、パ・リーグで活躍するのは難しくなる。バッターの方は、そういうピッチャーから打てないといけない。結果、ピッチャーとバッターが切磋琢磨するような状況になっているのだと思う。



 なお、2000~18年の19年間でセ・リーグのチームが日本一になったのは、00・01・02・07・09・12年の6回だけである。00~02年は3年連続でセが優勝したが、03年以降の優勝は16回中3回のみ。


※同じ期間において、ア・リーグ(指名打者あり)は10回優勝、ナ・リーグ(指名打者なし)は9回優勝。03年以降では8回ずつ優勝で完全に半々。


※日本シリーズの結果(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892281823


※ワールドシリーズの結果(↓)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892281927



●2022年のメジャーリーグ

 2022年、メジャーリーグではアメリカンリーグ・ナショナルリーグともにDH制を採用する「ユニバーサルDH制」で試合が行われる。


 これにより、これまでは「DHがないナショナルリーグでは使いにくい」と思われていた打撃特化型の野手やベテラン野手がナショナルリーグで活躍出来る可能性が出て来た(実際、ユニバーサルDH制が影響したと思われる移籍もあった)


 ユニバーサルDH制の導入により大きな恩恵を受けそうなのが大谷翔平で、これまで指名打者が使えなかったインターリーグの試合の分、打席数が増えると期待される(もちろん、ケガなどがなければだが)


 また、大谷翔平のために作られたと言っても過言ではないルール(いわゆる「大谷ルール」)があり、これまでは出来なかった「先発投手が降板後にDHとして打順に残る」事が出来るようになった。


 単純に考えれば、打席数が大幅に増えるので、ホームラン数も増えると期待される。


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