第11話 侵入

 誤解を招くような表現だが、充実していた。

 長大さなら不必要なまでにある廊下を走り周り、器具無しで出来る筋トレを二日おきにやる。

 高カロリーの食事は筋肉をつける分には便利だと、ぎとぎとのカレー風味の何かを流し込みながら思う。5日目くらいから吐き気がし始めたが、10日で慣れた。油を無視さえすればただの料理だ。


 それ以外の時間は、施設の探索と資料室での調べ物だ。とにかく内部構造を理解しなければならない。探した限りの地図は、大部分が黒塗りされていたが、逆に言えば重要な部分はそこにあると説明されているようなものだ。これは自分の足で埋めればいい。

 それぞれの部屋の位置関係は、一番大きい工場を中心におおよそ掴めた。あとはどこから出るかだが、これは初めからあたりをつけている。

 この神塞はほぼ密封された建築だが、穴が開いていると確信できる場所が一つだけある。水の吸排口だ。ある程度は循環させているかもしれないが、ここの技術でも流石に無から水を生産はしていないはずだ。工場から滝のように流れていた水は、地下から川に戻していることになる。もちろん封鎖はされているだろうが、あの量の水だ、人の通る太さは確保できる。


 水中で活動するための装備一式は、僕の通行証で入れる用具庫の中に揃っていた。どうも清掃のためのものらしい。この要塞に人がごった返していた頃には、重労働に不平を言いつつ水回りの清潔の維持に駆り出された者たちがいたのだろう。

 

 こういった不審な行動を、聖がとがめることはなかった。というか何も言わない。話しかけなければずっと無言で、起きてしばらくすると外へパトロールに行き、寝る少し前に帰ってくる。昭和のお父さんかよ。

 もろもろの活動は、無論聖がいない間にやってはいる。だが、外に出たいと要求していた奴が唐突に大人しくなれば、普通どこか怪しいと勘繰りそうなものだ。

 僕を信じているということではなく、本当に何をやってるか分かりかねるし興味も無いそぶりだ。檻に放り込んだ犬猫が脱出しようとしているなど夢にも思わずに、餌だけやっている飼育員というか。

 とにかくありがたい。はっきり言ってこちらに興味を持たせた時点で詰みだ。ぜひぜひそのままお仕事を頑張っていただきたい。


 食料は簡単に手に入った。そこら辺のラインを流れている保存食を見つけるだけの楽な作業だ。一日歩いたけれど。一食で軽く一日分のカロリーを摂取できる優れものなので、二週間分は確保した。

 少しの努力が結果につながり、計画が着々と進むのは精神衛生にもいい。あるいは閉じ込められているストレスがはけ口を求めてこんなことをさせているのかもしれない。

 必要なものはおおよそ手に入り、後は内部の探索に時間を費やすことになる。なにしろ一発勝負だ。見つかっても殺されはしないだろうが、流石に監視は厳しくなるだろう。もっと狭い部屋に閉じ込められるのがありそうな線か。

 そうならないためには確実に一日で山岳地帯を抜けることが必要だ。中でまごつくのが最大の時間のロスになる。

 資料室の本棚を片っ端からひっくり返し、ようやく配管図らしきものを見つけた。立体交差の位置関係が正しいかを、メモに写した絵図を頼りに確認していく。三日ほどかけて配管の形からページを参照できるようになった。


 潜水装備の点検もかねて、一度工場の底に潜ってみる。排水口がどこにあるかはすぐに分かった。家がすっぽり収まりそうな穴の周りで水が渦を巻いていれば、嫌でも目に付く。

 当たり前だが柵に覆われて侵入することは出来ない。まあ人を吸引できるようなものを放置しておく方がおかしい。これは伝孔丸で切れるだろう。あの新書くらいの厚みしかない、指で切先を曲げられるような刀身の切れ味に僕は魅了されていた。魔術のように切れるのだ。一切の抵抗なく。

 柵に変な文字が彫られているようには見えなかったし、物理的な強度を断てないはずがない。


 警備網の確認も必要だ。こればかりはいくら探しても資料が見つからなかった。他の場所に保管してあるのだろう。危険ではあるが実験してみる。

 部屋の隅っこの木材の外壁を、セラミックナイフで薄く削ってみる。削ると言うよりも剥くと言ったほうがいい小さな破壊活動だが、はたして反応は激烈だった。

 

ちりりりりりりりりり

ちりりりり

ちりりりりりりりりりりりりりり


 鈴の音が部屋の中に満ちて、それを吹き消すかのように廊下を駆け抜ける鉄靴の音が近づく。蹴り破られたかのように壁が弾けて、物凄く良い姿勢で聖が駆けよってきた。

 背筋を伸ばして頭はほとんど上下せずに、脚だけがクランクのように高速回転する理想的なフォームだ。力強い踏み込みで身長の倍近いストライドを実現している。改造人間の凄さを改めて実感した。僕も短距離速くなりたい。ここまで0.3秒。


「うわあ!」


 独断で緊張した筋肉がナイフを跳ねあげ、指が勝手に柄を離した。

飛び出した棒状物体は、重心に従って回転運動を開始。その中心軸をとらえた聖の前蹴りが刃身をかち割る。粘りがないとはいえ、硬度なら鉄を超えるだろう珪素質のナイフがチョークのように粉になった。

 下手をしたら指ごと持っていかれる所だった。危ねえ。



公共施設対破損行為鎮静対象

今回損傷軽微為厳重注意止

次回以降鎮静又破却執行可能性有


 

 えらい長文でよく読めないが、怒られていることは分かる。今までで一番長く喋ったんじゃないだろうか。


「はい、ごめんなさい。申し訳ありません。もうしないです。はい。気の迷いでした。」


 とにかく謝り倒す。ここで怪しまれたら元も子も無い。

 誠意おためごかしが通じたのか、聖はしばらくじっと立っていたが、頷くと踵を返して廊下に消えていった。


 これでわかった事は、どんな些少な破壊でも感知され、すぐさま聖が飛んでくること。つまり聖が出かけてすぐに脱出を試みれば、とって返してきた彼女に鎮静だとか破却とかをされてしまうという事になる。

 どちらもあまりぞっとしない単語だ。水を飲めない状況下で、ぱさぱさのビスケットを食べさせられ続けるより厳しいのは間違いない。

 そうなるとパトロール中の、いちばん神塞から離れている時に逃げるのが最善となる。ググレカス先生の助けもないまま、どう移動しているかもわからない相手の位置情報を収集するのは困難だ。よって普段の生活リズムから、大まかにどれほど離れているか割り出すしかない。またも地味な調査作業の時間だ。


 方法は単純。ひたすらに聖の後ろに付いて歩き回るだけ。元の世界なら3日経たぬうちに警察のお世話になる行為だけれど、この施設唯一の官憲たる聖が黙認するなら無問題だ。そして彼女の無口さはこれまでの経験で嫌と言うほど理解できている。

 竹性の黄土色の床、不十分な照明下では少し明るい灰色にしか見えない廊下をひたすらに歩く鎧姿の後ろをひたすらについて回る。




 なんとなく予想は付いていたが、彼女の行動を記録するのはすこぶる簡単だった。朝に僕を起こしたあと、地下の施設を工場、資料室、武器庫の順、つまりは上から下に順番に巡り、異常が無いことを確認すると外に出る。

 監視装置で観察できる範囲では、まず市街地まで馬を走らせ、しばらくすると川沿いを下っていく。日が沈む頃に山の方向から帰ってきて、また施設を巡回した後に僕をベッドに放り込む。それ以降は後をつけようとしても強制的に横にされてしまうため、なにをしているかは見ることができない。

 起き上がって歩き出すと、脇から持ち上げられてもとに戻され続けるのだ。人間兵器に対して根気比べでは相手にもならない。


 しかしいくら規則正しいと言っても、一日二日でその規則性を理解しきることは難しい。それにイレギュラーと言うものは、定期的な業務の間に常に内在するものだ。ちょうど早めに帰宅するときに逃げ出していたら目も当てられない。

 そこまでいくとほぼ運任せになるが、人事を尽くした方が天命にぶん殴られた時に諦めがつくというものだ。ストーカー行為の中、またいくつか夜が過ぎた。


 


 


 その日はちょうどイレギュラーが起こった時だった。ベッドの端に足をのせて腕立て伏せをしていると、突然壁が開いた。突然開くのはいつものことなのだが、戻るまで少なく見積もって体感3時間は有るはずの刻限に出現したボロボロの聖に目を奪われて、自分が腕を伏せる途中だったことを忘れた。

 歯と歯がカスタネットのような音を立て、放たれた火花に視界が明滅する。うずくまって転げまわりつつ、呆れているのかただ無感情なのか、ただこちらに目を向ける少女を観察する。

 部屋にいたときに出会ったのは運が良かった。さっきまで潜水服のサイズを確かめていたのだ。気付かずに鉢合わせていたら警戒されたかもしれない。


 早すぎる帰還の他に異常は二つ。普段は建物の中には入らない鉄の騎馬を連れていることと、その身体の惨状だ。

煤と油っぽい汚れにまみれ、明らかに自然ではない深い傷が刻まれている。

特に右の脇腹あたりから左肩まで走る裂傷。斬撃ではなく、砲弾をぎりぎりで弾いたものだろうか。装甲を削いで皮膚を裂き、間違いなく内臓まで到達している。

 しかしその甲冑には血のりの一滴さえも散ってはおらず、どころか傷口の底から湧き出るものは空虚な微風だけだ。


「な、内臓がないぞう」


 阿呆な台詞と言うものはこんな時に限って浮かんでくるものらしい。いや、頭が空っぽになるような衝撃に対しては頭が空っぽな反応を返すのが当然なのだろうか。

 空っぽだった。人工筋肉や各種の代替内臓機構が詰まっていると思われた彼女の体内は、粘ついた暗黒と発光生物の光のような仄かな光点に埋まっていた。

 痛みを感じているそぶりは無い。感覚は有るのか、あっても僕の考えるような精神と不可分な信号のそれなのだろうか。分からない。分からないことだらけだ。彼女はなんの説明もしない。ひたすらに職分を全うしている。

 自身の傷など問題にもせず、何時ものようにしばらくこちらを点検すると、機械馬の手綱をくい、と軽く引いた。


 熊に襲われる人の図が4Ⅾの迫力で繰り広げられる。立ち上がった機械馬が覆いかぶさるようにして聖を飲み込むと、腹の円盤が引っ込んで背面から飛び出し、空いた空間に身体がはめ込まれた。

 

「うおっ!?」


 正直引く絵面だ。普通のバイクも下から見ればかなりごちゃごちゃしているが、その比ではない。それこそ聖の中身よりよほど生物的だ。

無数の触手、あるいはマニピュレーターが、鎧の裂け目を繕っていく。触腕の先端は細くて見えないが、針のような指が不規則に微動するたび傷痕が縮む。

 外見は何事もなかったように、継ぎ目一つ見当たらない胸甲が姿を現した。こびりついた汚れの中から浮き上がるように鈍く光る装甲だけが、かつての損傷を物語っている。

 内部に異常があるのかは見当もつかない。どういう原理であの暗黒を閉じ込めているかさえさっぱりなのだ。


 修復にそう長くはかからなかった。数分も過ぎたかどうか。その時間さえも惜しんだという事に嫌な予感を覚える。

 もちろんそのような僕の不安を意に介す聖ではなく、床を踏むと通路が開き、底へ向けて馬を引きだした。外を確認したいという欲求と、聖と一緒にいた方が良いのではないかという打算がせめぎ合い、僅差で後者が勝つ。

 何が起こるか分からないが、僕が無力である以上情報よりも破壊力だ。とるもとりあえず伝孔丸をひっつかむと、通路が閉ざされる前に駆け足で飛び込んだ。






 地下は不思議なほどに静かだった。いや、ここが静かなのはいつものことだ。耳をすませば落下する水塊の轟きも聞こえてくる。

 ならばこの違和は何処からくるものか。首の産毛をなぜる風がいとわしい。単なる過敏症か、第六感の危機管理か。

 工場の中は常と変わらずやかましく、それが不思議と安堵をもたらす。巨大な機械群は未だ日常が進行していることを証明していた。

 聖は雨だれのように正確な足音を響かせて浴槽に向かう。僕も何度か使ったことがある。大人数を効率よく清潔にするために、細長い箱に入った薬品の臭いのする湯に立ったまま入り、横から噴射される水流に洗われながらベルトコンベアで運ばれるという味も素っ気もないものだ。

 遠くに沸き立っているのは、プールに入る前の消毒装置を大雑把に大規模化した桶。そこにためらいなく入ろうとする美少女型の、何に分類すればいいか分からない人。その後ろをついて行く僕、という位置関係だ。

 

 これはまずいんじゃないでしょうか。

 いや彼女が風呂に入るなんて思わなかったからうっかりついて来たけれどそもそも入るんだ、お風呂。いやそこは重要でもない夜に入っていたかもしれないそんなこと気にするのか?あの子。あれか兵員が朝っぱらから風呂にはいるのは市民団体から文句言われそうだからだからだからそれは重要じゃないって覗きはまずい。

 いや不味いのか?見えるっていっても浴槽内は水流と泡で不透明だし一瞬ならいや丸見えでも気にしないだろうな、聖は。

 この位置は食事レーンの通路と斜めに交差して高低差3m程度だから飛び移れるそれは確かめたすばやく工場の底に降りるのは大事だまともに横道を通りながら行けば底まで一時間近くかかるそうじゃない。ここで降りてどうする。怪しまれるだけだ。堂々とすればいい。後ろ姿を見るだけだし、気にするような人?でもなし。別にそこまで気になるお年頃なわけでもないし。自己弁護はこのくらいでいいか。


 聖は足を止めぬまま浴槽に踏み入り、湯気の中に溶けていった。


「丸洗いかよ!」


 馬も入っていく。人機の区別をつけぬ汎用性の高さに驚くばかりだ。人生について考える。父さんが趣味でやってる居合の刀を持って異世界転移の妄想をしたり、抹殺ロボの映画に影響されて走るときの脚の振りを無駄に高くしてみたり。嫌な記憶と言うものは人が弱っている時にこそかさにかかって攻め立ててくるらしい。

 軽く死にたくなってきた。通路から飛び降りる。


 下の床に着地した。下降したい気分だ。とりあえず下まで運んだ潜水装備が無事か確かめよう。

 ジャングルの樹冠じみて入り組んだパイプや通路のおかげで、ショートカットの経路には困らない。なんだかんだで慣れるものだ。安全確認をしつつ跳び、受け身をとる。経路沿いの移動に比べれば倍以上の速さで降りていく。少し茶の混じった灰色の土管につかまり、隣の通路まで這っていく。滝つぼに近付くにつれて、しぶきが髪にかかる。支脈が合流してだんだんと太くなり、隙間からの反射がちらりと見えるだけだった水面が広がってくる。

 その中で悠然と泳ぐ長い脚のイルカ。


 出来るだけ首を伸ばす。


 霊長類の大腿部に似た一本足が潰れた尾びれを飲み込むようにして生えていた。水を弾く毛深い脚が水面を押し、首をもたげる蛇のように音もなく巨体を持ち上げる。

 胸鰭が変化した腕は甲虫のそれに近い。鋭い爪がパイプの一つに突き立ち、体全体を乗り上げようとして動き始める。


 そのぬらついた鉤を中腰で走り寄って薙いだ。割と滑りにくい材質とは言え、丸い土管の上を駆け抜けられたのは幸運もあるだろう。走りつつの抜刀は一拍遅れたかに思えたが、怯みがもたらした遠近感の狂いとちょうど合致して見事に爪を断った。

 切った感覚はほとんどない。粉ミルクを溶く時の微かな抵抗が手首にかかり、気づけば爪と節が離れていた。

 呼吸が戻り、小鼻あたりに漂っていた異臭が喉までからむ。落ちていく怪物と目、のある所にある穴を目と呼ぶべきか知らないがとにかく目が合った。

 肥大した前頭部を持つ以外人間と変わらない頭骨に皮が張り付き、口に当たる部分は白っぽい円盤のようなものをくわえこんでいる。異臭の正体はその全身を覆うウエットスーツじみた脂だ。

 分厚い脂肪は黒ずみ、その中で血流の様にうごめく蟲たち。何らかの方法で警備を潜り抜ける機能を付与されたのだ。


 僕の倍はある体長が泡立つ水に沈み、転瞬、鈴がかき鳴らされる。





ちりりりりりりりりり

ちりりりりりりりりりりりりり

ちりりりりりりりりりりりりりりりりりりり



 心なしかいつもよりうるさい。同時に眼下、いくつもの影が浮上してくる。

 流線型の着ぶくれした中年のような腹の水棲怪物が、今度は隠しもせず次々水面を打って跳ね上がる。取り付けそうな場所にあらかた鉤をかけると、同属の身体にも爪をかけ始めた。

 切れた脂から重油のような黒が流れ、しぶきと共に舞う。


 声も出せず、蜂にまとわりつかれた時の反応で鉤爪をはたいた。伝孔丸の刃筋補正機能は実に勤勉に働き、子供のチャンバラ遊びを名刀の一閃に打ち直していく。

 3匹目を落とした時、バスケットボール大の何かが視界の端に出現した。


「うぉあ!」


 右腕を振って落とすが、制服のそでがその一撃で裂ける。土管に未だ刺さっていた鉤爪だった。

 バランスを崩して必死に地を抱く。ここから落ちた後に起こる事態など考えたくないし、想像も及ばない。


 既に工場の下部にとりついた水棲怪物は石を裏返した跡のミミズのじみた数で、二本しかない脚を小刻みに使いながらよじ登っていく。

 僕が落とした敵の後からも再びあの脂ぎって膨らんだ頭が乗り出し。


 ドーム状の額が三叉の蹄に砕かれた。


「聖!!」



 僕の前方を横切るように落下しつつ、飛び出してきたイルカ型生命体の首を飛ばす。抜刀の勢いで投擲した刃は、通路の手すりにのしかかっていた敵の胴を手すりに縫い留めた。

 泥に長靴が突き立つぬちょりとした音が鼓膜を掻き、聖は機械馬に乗ったままターザンの機動を開始する。

 左手に構えた散弾銃剣は道管の間、毛深い一本足と水死体のような胴体の化生たちが最も密集する部分を照準。


ずどむ


 至近の雷鳴が敵獣の脂を泡立たせ、少し遅れた散弾が蒸発させる。通路が二つほど消し飛び、敵の部品がばらばらと零れ落ちた。反動でへし折れた手すりごと刺さっていたイルカが落ちる。二重らせんの経紐が巻き上げられて、空中で二つの影が衝突した。


 逆手に太刀の柄を掴むと引きちぎるように抜き、ばね仕掛けの馬脚が踏み台を粉砕。馬体にめぐらされた紙垂をはためかせながら僕の横に着地。



騎乗



 こちらが何をか話す前に謹厳と告げる。立ち上がった僕を有無を言わさず持ち上げて鞍に乗せた。まだ耳鳴りが残る耳孔に耳栓をあてる僕をしり目に、破邪の騎士は二刀を構える。


 無論の事、泣き言は無い。


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る