第138話「ドラクエ5の映画の話 続き」

 かなりサクサク進むので物足りない人はいると思うが、天空の剣のかっこよさとかもしっかり書かれてるし、むしろサクサク感を評価したい。そうしてあっというまにラスボスのゲマ戦。


 あまりの敵のおおさにピンチに陥るも、ご都合主義的に、かつての仲間や昔倒したボスキャラとかが助けに来るのは、批判する人もいるけど、まあいいと思うけどな。

 

 でそういえばボス戦に挑む前に、ドラゴンを味方にしなければいけないので、ドラゴンオーブを取りにいくシーンがある。

 ドラゴンオーブをとるためには、妖精の国へ行かなければいけないのだが、妖精の国ではロボットが行く手を阻むというのだ。


 でここで、ちょいちょいなりを潜めていたメタ要素がかなり大胆に顔を出し始める。主人公がロボットという言葉にたいして戸惑いを見せるわけでもなく「ミスマッチ」ですねぇことをいうのだ。

 それに対して、ドラゴンに扮しているおっさんは「今回はそういう仕様なんじゃ」ということをいう。

 ここで、うーんなんかメタ要素だなあと気づく人は多かっただろう。


 俺は落ちを聞いていたので、結構前からメタ構造に気づいていたが、ここでなんかおかしいぞって気づいた人は多いと思う。


 そしてラスボス戦というか、ゲマ戦の中で徐々にそのメタ構造は大胆になっていき、とらわれた主人公の母は死の間際に今回のミルドラース(ラスボス)と戦ってはいけませんと、またしても今回をアピールする。

 どうもきな臭い・・・・・・


 というかここまでやればさすがに、少し落ちを聞いてた身としてはもうどこで、そのやらかしが展開するか完全に理解してしまう。


 相変わらず戦闘シーンは面白い、主人公の息子は勇者であるのだが、ギガデインを使いながら周囲を蹴散らし、主人公はゲマと1VS1の戦いに挑む、今まではただ負け続けてきたが、とうとう主人公のバギクロスがゲマを捉え、そして主人公の刃がゲマに届く。

 かに思われたが、わずかにゲマのバリアがそれを防いだ。バリアを突き破ろうと力を込める主人公、しかしその刃は徐々に戻される。

 そのとき、勇者である息子の天空の剣がそのバリアに突き刺さり親子パワーでとうとうゲマを倒す。

 

 なかなか熱い展開。


 しかしゲマは自らの命と引き換えに、ミルドラースを召喚する。

 いよいよラスボスが目覚めてしまう。


 うぉぉあつい、このアニメーションと勢いであついファイナルバトルを繰り広げてくれ。

 そういう観客の願いの中、主人公の息子は、開こうとする魔界の扉に向かって、天空の剣を投げ込み、その扉を閉じることに成功する。

 かに見えた。


 しかしそれはかなわず、やはり魔王は復活してしまう。

 こうなれば良かったのだが・・・・・・。


 という展開にはならず、突然世界のすべてが静止する。


 ビアンカ、勇者、モンスターたちいままで戦いをしていたすべてのものたちが活動を止める。BGMが止まる

 動けるのは主人公だけ・・・・・・


 そこへおもむろに上空から魔王らしきもの(ミュウツーがラファエルのお面をかぶったような物体を想像していただきたい。)が降臨してくる。


 そこでそのミルドラースを名乗るものは「ここはすべてがゲームの中の世界で、私はこれを破壊するために送り込まれたウィルスだ」とかたる。

 そして周囲の景色が次々とコンピュータ上のテクスチャとかわっていく。

やがて何もない無の空間へと変わった。


 この瞬間に観客すべてが凍り付いた。

 本当に場の空気が変わるってことあるんだなって感じた。


 俺はこうなるって知ってたけどそれでも、あーぁこりゃあ冷めるわって、周りの人間を気の毒に思った。

 落ちを知っていて本当に良かった。


さらにミルドラースは続ける

「私を作った人間はゲームが嫌いで、これを破壊しに来た。メッセージがある。大人になれ」

 という、映画を見に来た人をさらに冷めさせるようなことをいう。


 そこで主人公は、ゲームは大事だとか、俺にとってはかけがえのない一部だとかいって、そのウィルスを打ち破って、はいハッピーエンドってなるんだけど、もはや何を言っても手遅れでとても感動シーンなどは生まれない。


  一緒に行った人間も「はーうーん、よくわかんない」としかいえなかった。


 主人公は、今いる自分の世界がゲームだと気づいた瞬間すべてに冷めて、そのままエンドなのだが、まさに観客がその感覚で、非常に冷めたままエンディングを迎えた。これを狙ってやったんだとしたら趣味が悪い。

 最後の10分までに築いてきた没入感が一瞬で無となった。


大どんでん返しといえば聞こえがいいが、最終バトルの時に隕石が突然襲ってきて終わりましたって感じなので、ただの破れかぶれである。


ということで、最後の10分によってすべてが覆ってしまった映画。まじで最後以外はいいので、本当にもったいなかった。

 ということで見る価値がないわけではない、少なくとも話題にはできる。

 

 ある意味では監督の狙い通りなのだろう


ちょっと長くなってしまったが、つぎの回で監督が何をおもってこんなことをしたのか考察していこうと思う
























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