第139話「ドラゴンクエストの続き③」

 というわけで巷の声を見る限り酷評だらけなわけだが、製作者側もある程度は、作った段階でこうなることは予想できたはず。

 なぜ公開に踏み切ってしまったんだろう。


① 監督のエゴ説

 やはり。こういった原作ありのものをやる場合、そのまま原作を再現するのが多くのファンに求められてるものだが、製作者、監督からすればそれほどつまらないものはない。

 やはり、俺が監督なのだからこうしたいと思いはあるはず、オリジナリティのない監督などいらないのだから。

 

 ましてや今回この監督は、ドラクエ5をプレイしたことがないらしい。

 この時点で相当バッシングものなわけだが、しかし、未プレイな人間に監督が依頼されるということは、これはもうプロデューサー側は監督に原作をブレイクしろと言ってるようなものだろう。

 

 であるから、監督としての自己主張をするためにこうなったのは当然ともいえる。


② こうするしかなかった


 改めて考えると実はこの作品はよくできていたのではないかと思う。

 そもそも、ドラクエ5という長尺作品を120分におさめるのは無理がある。3部作でやるという手もあるだろうが、その場合あまりにも幼少期編の見せ場が少なすぎて、次作へ期待をもたせることができないだろう。

 幼少期をカットしようと思ったら、この世界は実はVRの中の世界で、設定で幼少期をカットするのは、一定の説得力を持たすために、ありだと思う。


 実際俺は映画館で、なるほどそれで幼少期がなかったのかと妙に納得したものだ。


 あと実はミルドラースっていうラスボスにそもそも魅力がないという点も問題である。あの展開にせずに、普通にミルドラースと戦って大円団で終わりにした場合、ここまで炎上することもなかっただろうが、話題に上ることもなかっただろう。


 今回のがっかりエンドにしたことで、少なくとも話題性は十分になったといえる。


 まあそれでも、おそらく監督がテーマにしたかった、「ゲームと現実世界の付き合い方」みたいなやつが時代遅れ過ぎて、寒い。

 いつの時代のテーマなんだよ、少なくても10年は遅いし、アニメ映画とかを見に来てる大人に対して何かメッセージを打つなんて言うことは、とっくに庵野秀明と富野とハヤオがやってるじゃねーかってことよね。

 しかもこの3人はそれをメタファーにしてたのに、ドラクエの監督はまさかのキャラクターに「大人になれ」っていうダイレクトメッセージを伝えさせるというセンスのなさっぷり。

 はっきり言って見に来た多くのドラクエファンが「余計なお世話」だと思っただろう。

 「ゲームを大人になってもやる人はかっこ悪い」ってすごい時代錯誤な価値観をこの監督は持ってる。


 エクスキューズ的に、そのあと主人公がそれを打ち破るけど、監督の本音はそれじゃなくて、「ゲームなんてやってないで、もっと映画とか崇高で文化的なものを見なさいよ」ってことでしょ。

 まじでうぜぇ。


 あと一番思ったのが、実はVRでした設定をやるんであれば、現実に戻るシーンは3Dアニメじゃなくて、実写にすべきであっただろう。

 回想シーンで突然、主人公の回想を当てていた佐藤健が出てくれば、冷めていた観客の心も一瞬、「おっ」となったと思うんだが。


 そしてそこからは全部実写にして、佐藤健がウィルスを作った犯人を捜して対峙するという構図にすればよかったのでは?

 うーん、よくないか。


 結局批判は避けられないならもっと思い切りやればよかったのだ。



 京さんが見に行くか悩んでるけど、まあドラクエファンなら間違いなくがっかりするからやめたほうがいいと思うのですが、創作とは何かを考える場合、教材としてある意味見てもいいと思う。

 話題作であることには違いない


 あと、自らの反省がある。俺の「目が覚めたら魔王だったので」という作品のラストってまさにこんな感じの作品だったので、うーん、改めて考えるとそりゃあ☆がつかないわけだよ。

 やっぱ、作者はいいなあと思っても、せっかくのめりこんでくれていた読者を、置いてきぼりにする行為は良くないと改めて知りました。


 LINEノベルに移し替えるときは、かきなおそっかなあ。


 さあ、皆さんのドラクエの感想はどうですか?

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