捻くれた座標と壊れたコンパス I


俺は、大火災後に消息を失った謎の女の足取りを探していた。


手元には渡された幼い少女の色褪せた顔写真一枚だけ。


バートンが、当面の生活に必要な資金と捜査費用を俺が教えた預金口座に入金する事になっていた。


俺は、バートンの非現実な捜査依頼の真偽は半信半疑だったが、一つ信憑性を感じた点は母親の件があった。

あの魔女と呼ばれた母親の子供だと何処で嗅ぎ付けたのだろうか?

俺の母親は、数年前にあった思い出すもおぞましい事件から他界していた。

あれから、俺はその事件を忘れる様にして故郷から去っていた。

そんな少ない足取りから、俺の現在の居場所を嗅ぎ付ける何て、並大抵の根気とそれを後押しする根拠が無いと出来ないだろう。よって、その根拠には信憑性が高いと結論した。



横見に通り過ぎたATMからクレジットカードを入れて残高を確認すると、7000$あった。


「これで、債は投げられましたって事か。


バートンさんよ。」


煙草にライターで火を着けて、吸い付く。

深く吐く息と共に笑いが込み上げてきた。


さぁ、これから政府に追われるお嬢さんを探し出さなくてはならない。そして、酒臭い男は捜査の足を引っ張る。

円滑に捜査を進めるに辺り、有力情報を聞き出すには美しく上品で清潔な身なりをする必要がある。


預金口座の残金から900$引き出した。

これで、今よりは大分ましな見立てを用意できるだろう。

俺は、今やこの容姿を最大限に利用してやろうと思った。

何処までこの体が、魂が、難題難問にも力を示すのか見届けるのも面白い。


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ゲマトリア153~triangle・number ゴウレム @golem0ego9

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