傭兵の養女として育った少女が、養父の傭兵仲間である青年と、旅をする話です。
旅の目的をレビューで語るのは控えます。彼は嘘をついていて、彼女はそうと知っていながらついていった。そういう旅でした。
傭兵であった養父は確かに彼女を愛していたのでしょう。
彼女の養父への愛の形は恋であり、養父の彼女への愛の形は父性だった。
そのすれ違いはとても切ないものですが、どこか優しくある。
きっと、どんな形であったとしても、二人の間に強いつながりがあったことは確かだから。
養父が全力で愛したから、もしかしたら誰もいないところでひとり寂しく生を終えるかもしれなかった彼女に、愛というものを考えさせたのでしょう。
それは一生消えることのない美しい思い出となるのでしょう。
たくさん愛された彼女はきっとこれからも誰かを愛してゆきます。
そう感じさせられる、希望のある終わり方でした。