Chapter 2 「猫とコーヒー」

僕のそばにいるその少女は白髪で澄んだ青い目、白い猫耳、白いドレス、そして薔薇の香り……

どこか面影が残るこの感じ……

「これは夢なのか?」 頬をつねる。

うん、あるあるな手を使ったが…… 現実だ‼︎

「分からないですか? 私、ルーナです‼︎ にゃん♪」

「ルーナ⁉︎ めっちゃかわいい……‼︎」

確かにこの面影はルーナだ。

何が起こっているんだ……

未だに状況がうまく飲み込めてない自分。

僕はこの瞬間、手が震え始めた……

ここは現実なのかも分からなくなってきた……

急ぎ足で、二人分の朝食を用意する。

「あ、キャットフードはいいにゃん! 人間と同じ舌だから。」

まじで言ってるのか? 僕は昨日よりもっと焦っている……

動揺しながら朝食を用意した。


「いただきまーす! ん〜!おいしいにゃん‼︎」

食べてる時もただただ驚きしかなかった。

けど、女の子になっても相変わらずかわいい。やっぱり拾って良かった〜‼︎

「食べないにゃん?」

「あぁ、いや別に…… ルーナはどうして女の子になったんだ?」

「はっきりとは分からないけどご主人様への愛情が強くなったというかなんというか…」

「もしかしてこれは一時的ではないよね?」

「というか、これから人間として生きていくと思うにゃ。」

「えーー‼︎ なんかさらっと言っちゃってるけど大事なことだよね⁉︎」

「それはそうと…… 最近、浮かない顔してるけど大丈夫?」

「うえっ? あぁ、うん……」

「喫茶店やるとかどうのこうの言ってたけど……」

そっか、ルーナだから昨日愚痴ったことも分かるのか。しかも意外に話しやすいかも……

「正直、何かやるにしても仲間がいないのが問題なんだよね。」

僕は憂鬱に窓からの景色を見た。

「それだったら、私に任せてほしいにゃ‼︎」

「いきなりまじで言ってるの⁉︎」

「にゃあ! 私はご主人様のためにこんな姿に神様がしてくれたんだと思う。だったら私はご主人様のために一生懸命いろんなことをして、幸せになりたいにゃ‼︎」

「本当に大丈夫なの⁉︎」

「大丈夫にゃ! 一からしっかり勉強しようにゃ!!」

ルーナは熱意がすごかった。

そうだ、あの時の僕もそう決意したんだ……

例え、一人でも仲間がいればうまく仕事が回れるはず!!

「分かった。やろう! 二人で喫茶店!!」

この瞬間、僕はいろんな悩みが吹っ切れた。

「やったーー‼︎ じゃあ改めてこれからよろしくにゃ!……ご主人様……じゃなくて、爽くん‼︎」

一瞬、僕の顔が赤くなった……


「さて、コーヒーについて勉強しますか……」

「にゃ? もしかして、コーヒーできないの?」

「そもそもできないよ‼︎ だからコーヒー勉強するんだって。」

「えーー⁉︎ 優しく教えてくれるかと思ったのに……」

「それはごめんな…… うちの父さんとかにどうかしてもらうから。」


こうして電話で父さんにアドバイスをもらうことにした。多分、シェフやってるから忙しいだろうな〜。

「もしもし、父さん?」

「おう、爽か。何か用か? やりたいことでも見つかったのか?」

「うん。喫茶店やろうと思って…… で、いろいろコーヒーのことを教えてほしいんだけど……」

もともと父さんはそんなに医者の道を勧めていなかった。父さんがいなければ、僕が自分の意志で「やりたいことをやる」という道に動けてなかったのかもしれない。

「そうか…… 喫茶店ねぇ…… 説明すると長くなるからな〜。」

「それはいつものことでしょ!」

父さんはシェフをやってる以上はいろんな料理知識を知っている。それにどのシェフよりも人一倍料理に情熱を持っている。だから料理の話になると長くなるのだ。

「時間もないし、なんか紙とかにまとめておくとするか。それだったら詳しく説明書けるし。」

「ありがとう‼︎ 父さん‼︎」

「喫茶店やるって決めたなら、しっかり頑張れよ‼︎ じゃあな。」

父さんに猫の女の子がいるということは話さなかった。このことはできるだけ身内には内緒にしておきたい……

「よ〜し! 元気に頑張るにゃん♪」

「改めてよろしくね‼︎ルーナ。」


正直、今は何から手をつけていいか分からない。これから先ハプニングとか奇跡とか何が起こるのか分からない。けど、こう決めた以上はしっかり受け止めて、忙しい日々の中で一緒に笑ったり、泣いたりしながら、前に進むだけだ。

このかわいい猫の女の子と共に僕の新しい生活が今、始まった。

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