第40話 『ガラスの靴を壊す夏』

 概ね一年半ぶりにカクヨムをマメに動かしている今日この頃、連載を中断させているのに何おかしな新作を公開しているのかとお怒りの方などそんなにいないと仮に決めた上で話を続けさせていただきます。


 急に公開した本作は、私がたま~に書く「現代社会の片隅で生活する女子と女子が、ただ己のことについてひたすらくっちゃべっているだけの短編」になります。魔法が当たり前に存在し、人の気持しだいで超常現象が起きるようなマジカルな世界の話を好んで書き勝ちですが、反対に全くなんてことのない日常のスケッチみたいなものを書くのも好きなのです。

 タイトルの通り、自分を縛っていたガラスの靴を自分で壊して踏ん切りをつける女の子とその親友のお話です。

 やたら文字数が多くてうるさいけれど、女子二人によるかしましいおしゃべりに少しでも耳を傾けて頂ければ幸いでございます。



 ──これで終わってもいいのですが、ちょっとした裏事情があったりしますのでそのことを簡単に記しておきます。


 本作は実は元々、二次創作小説として公開していたものです。

 一昨年あたりから某国民的人気漫画・アニメの某カプの二次作品を読むようになり、触発されて書いた作品のうち一つになります。当然、カクヨムで公開するにあたっては原作要素を極力配慮してオリジナル作品としてリブートさせております。

 

 なぜそんなことをしたのか? それにこたえる前に一つだけ。


 二次創作を好んで読まれる方にお訊きします。推しカプがひたすらイチャコラしたいものを読みたくてカップリングタグのついた作品群を漁っている時、当の推しカプがほっとんど出て来ずに原作で影も形も無いキャラクターがうだうだ喋っているだけ(しかもやたら文字数多い)(原作の解像度も別に高くない)(萌えないしエロくもない)という地獄めいた作品が混ざっていたらどう思われますでしょうか?

 おそらく「邪魔だなぁ」「変なもの読んじゃったなあ」となったあげく速やかに去る方がほとんどではないでしょうか。私がそういうタイプですよ。基本、原作にオリジナル要素を混ぜてあるものが苦手ですし。夢系の二次創作が楽しめない方ですし。

 にもかかわらず、「原作に存在しないキャラクターたちがメインで、文字数が多くて、原作の解像度が高くも無くて、萌えもしなければエロくも無い」というあまりにも需要を無視しきったものを書きあげてしまった愚か者がおりました。それが私で、出来上がったものが本作のプロトタイプになった作品です。

 なんでそんなものを書いてしまったのかといえば、「なんか書いてみたくなったから、書けると思ったから」って答えるしかありません。一時的なテンションの産物でございます。


 まあ、こんなだし読まれるわけないよなぁ、と予測はしていましたし予防線を張って公開したしだいですが、まさか本当に読まれないとは。

 正確にいうと、ファンの方が多い結構活発なジャンルなのでPV数はまわるもののブクマが全くつかなかったのですが、数字で示されると結構堪えるものでして。

 そりゃそうだよなぁ、推しのいちゃいちゃを求めてる人の前にそもそも推しの陰が薄い作品出すのって軽い嫌がらせだよなぁ……と当たり前のことを痛感しても後の祭りで、本作はちょっとした心の傷になってしまったのでした。たま~にPVが回ったという通知が飛び込んでくるだけで、罪悪感で胸が痛む程度の傷ですが。

 ここですっぱり削除が出来れば気が楽なのですが、書くのに時間もかかったしああだこうだと悩みはしたので愛着がないわけでもない。とはいえ、なかったことにするのはそれでそれで難しい。でも特に喜ばれもしないものを置いておくのも身が持たない。

 作品も不憫だけど自分も辛いという、こんな状況で一年と数か月ほどやりすごしていたのですが、最近になって突然限界に達したのでした。

 「もともとオリジナルみたいなもんなんだからいっそのこと完全にオリジナルとして公開したい。その方がスッキリする。ていうかもうこれに関してはスッキリしたい! 望まれてないものを公開した後悔から楽になりたい」

 とまあ、また急にこんなテンションになった結果、次の日にはリブート作業を始めていたのでした。

 ──まあ、不憫なことになってしまった作品の供養したかったのですね。公開と後悔でシャレみたいになってしまったのがまた後悔の種になりそうですが。


 もうちょっと短くまとめる予定だったのに長くなってしまいました。


 ちなみに、美南は原作には存在していることだけが示唆されているものの未だ一切のプロフィールが秘されているキャラクター(原作では名前すら判明していない、作者が忘れていた説まである)で、一夏が原作には陰も形も存在しないオリジナルのキャラクターです。原作のキャラクターに相当するのは、美南の兄とその彼女さんです。そのあたりから需要のなさっぷりを感じてやってください。

 オリジナル作品にするにあたり固有名詞や設定をかなり変更しました。名前の類は全てフィーリングで決めたので、適当です。

 適当すぎて、別作品に「ミナミ」というキャラクターを既に出していた──それも高校二年の女子二人が海でうだうだする話で──ことを思い出すような有様をさらしておりました。ついでですのでそちらも宣伝しておきます。言わずもがなではありますが、美南とミナミは名前が被っただけの別人です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891900968


 あともう一作、「ミナミ」という名前の十七歳の女子に海に行かせる話を書いたら三部作にできるな……。

 

 特に内容があるわけでもない他愛ない作品ではありますがじつはそれなりに紆余曲折があったんですよ、ということを語らせていただきましたので、かなり気が楽になりました。ちょっとでも楽しんでいただけたのなら、元の作品もそれを書いていた日々も浮かばれます。

 ではまた何か別の作品で。

 

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