エピソードとしては、比較的使われがちな物を題材としています。しかしそこに、作者様の筆力が加わり、かなりハートウォーミングな作品に仕上がっています。
作中には、不思議を取り上げる様なシーンもありますが、そこから不思議に入り込む事はありません。ですが、登場人物達には確かに「少し不思議」な物であり、それだけで良いのです。それだけで、「不思議な気持ち」を共有できるのでしょう。
そんな中でも「サクラの狂い咲き」を取り入れるなど、実感できる不思議も含まれていて、作者様のセンスを伺えました。
ただ一つだけ、たった一つだけ言う事を許されるなら、ほんのすこーし、クリスマス感が無かったかなと。
まぁ、これは響さんの我が儘みたいなものですが。
これからも頑張ってください。
クリスマスなのに桜?
と不思議に思う物語ですが、主人公の住む家に植えられた桜はとっても不思議な桜なんです。
主人公は、この家を譲り受けた爺様と深い絆があったからこそ、生前の爺様を知っているからこそ、桜の下で起こるおとぎ話のような不思議な交流を信じられるのでしょう。
けれども、カクヨムで知り合った彼女は、ネットで繋がった文字だけの会話の中で、彼と彼のおとぎ話を信じて胸を踊らせた。
そんな二人は会う前からきっと心が通じ合っていたんだと思います(*^_^*)
こちらの世界では魔法は使えないと爺様は言っていたようですが(『桜の木の根元には』参照)、桜の木の下で起こるちょっぴり不思議な出来事が、二人に恋の魔法をかけたようです。
穏やかで温かい気持ちになれる、素敵なラブストーリーです。