Daybreak Walker

杉野冬馬

第1話:夜明けを望む少年

 誰かが言った。

 魔性の詠の使途リヴェリアは夜に死ぬ、と。

 夜の訪れと共に死ぬということではない。

 死ぬまで夜が終わらないという揶揄だった。

 人智を超えた力は恐れの象徴。

 人々は結束し、彼らを執拗になぶった。

 心も、体も。

 いつからか、長い、長い夜が始まった。

 終わりの見えない夜をどれだけ数えただろう。

 だからこそ、少年は憧れた。

 世界の夜明けを切に望んだ。

 いつか、必ず。この目で夜明けを望みたい。

 少年はうたう。

 いつか来たる、白んだ空を想って。


 ――リオ・ランブレスト『夜明けを行く者 第一節 褪せた光』より

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