2ー⑦ 何か反論はあるか?
(計画通りとは言えさすがに哀れだな……)
その感情はヴァンだけに留まったものではなかった。加害者、ドアを開けたものもおろおろと狼狽を隠せず
「お、おい……大丈夫か……? わざとじゃなかったんだ……」
思わず心配している。その気持ちは嘘偽りはないだろう。
案外悪い奴ではないのかもしれない。
しかしそれをヴァンはくみ取ろうとはせず、確認するかのように不良、顔だけ竜型をしている人間を指さす。
「はい、現行犯」
「え?」
間の抜けた声を発する竜型人。全く意に介さないで拘束の簡易魔法をかけるヴァン。
「生徒会の一員である副生徒会長が君から暴行を受けた。これは私自身が目撃したことで誤解の余地が全く入らないほどの明確な暴力行為に該当し、同時に校則違反に値するものである。それに対して私は正当防衛の権利を主張すると共に、身の安全のために君の身柄を拘束する。何か反論はあるか?」
「はっ……?」
ヴァンの言っていることについて来られなくなっている、あっけにとられている。
「おいどうしたキバット?」
屋上から声が聞こえてくる。それを聞いたのはヴァンだけだったようだ。キバットと呼ばれた竜人は事態について行けないため聞き逃してした。
「失礼……」
キバットを軽く横に押しやりヴァンは屋上に入った。
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