原文:ダレカのあとがき

按史、開禧用兵、止載畢再遇數有功、而詳其事。趙淳止有焚樊城而遁之記、及魏友諒突圍而出事。


今幕客紀注乃若此。然則魏當何如紀之邪。豈史臣多遺逸、而不及見此邪。抑以為誇張失真而不之取邪。皆不可考矣。



史を按ずるに、開禧の用兵、ただひつさいぐう數々しばしば功有るを載せ、其の事をつまびらかにするのみ。趙淳、止、樊城を焚してのがるるの記のみ、及び魏友諒の圍を突きて出づるの事のみ有り。


今、幕客の紀注、すなはくのごとし。しからばすなはち、魏、當に何如いかんぞ之をしるすべけんや(*1)。に史臣、多く遺逸し、此れを見るに及ばざらんや(*2)。抑々そもそも、誇張失真を為すを以て之を取らざらんや(*3)。皆、考ふべからず。



――――――――――



(*1)


 魏友諒のこと? をどうして記録できるだろうか、という意味? このあたりの文脈解釈、自信がない。


 あるいは、このあとがきよりも前に魏姓の何者かが「誇張失真の書であるから取るに足らない」と酷評したことに対し、「魏氏がどうしてこれを書くことができるだろうか」とするのがよいのか?(次頁参照)



(*2)

史臣


 記録に携わる官。書き留められた記録は蓄積され、やがて後世、正史編纂の素材となった。


 趙萬年は、本当はこうしたタイプの官吏の目に留まってほしくて『襄陽守城録』を書き残したはず。が、今や「襄陽守城録」と検索したら「~ガチ包囲されたんだが」がくっついた何かがトップに上がってくる。許せ。これが時代の流れだ。



(*3)

邪 ~や(疑問・反語)


 邪悪、の意味はない。訓読すると消える。

 反語の表現は序文や跋文には多く使われる。読みにくいからカッコつけないでほしい。

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