原文

十六日、忠義軍統領李良弼、於隨州管下白土坡抄奪虜人糧粟、殺死番賊、獲到首級甚多、有正將嚴整立奇功。捷書至。


公知府城四隅內南隅一面、係江陵七軍大教場、至魚梁平八里、地皆坦平。虜人每遇攻城、多以重兵攻南隅。


自正月初五日攻城之後、又置炮座・鵝車・洞子・木牌・草牛・土布袋等、日謀攻城。緣虜所置炮座・鵝車・洞子盡用牛皮蒙護、拽炮人在內、矢石不能入、仍置車輪推轉、於城下往來攻打。公遂措置於城外濠岸之南、離濠四十餘步、創開濠一道、以作限隔、使虜人推轉炮座・鵝車・洞子等難至城下。



十六日、忠義軍統領りやうひつ、隨州管下の白土坡に於ひて虜人のりやうぞくを抄奪し、番賊を殺死し、首級を獲到することはなはだ多く、正に嚴整をもつて奇功を立つること有り。せふしよ、至る。


公、府城四隅內の南隅一面、江陵七軍の大教場に係り、魚梁平に至るの八里、地の皆坦平なるを知る。虜人の每遇の攻城、多く重兵を以て南隅を攻む(*1)。


正月初五日の攻城の後り、又、炮座・鵝車・洞子・木牌・草牛・土布袋等を置き、日々攻城をはかる。虜の置く所の炮座・鵝車・洞子、ことごとく牛皮を用ゐて蒙護し、えいはう人、內に在るにりて、矢石、く入らず、りて車輪を置きてすいてんし、城下に往來して攻打す。公、遂に城外濠岸の南に措置し、濠を離るること四十餘步、濠一道を創開し、以て限隔をし、虜人推轉の炮座・鵝車・洞子等をして城下に至るにかたからしむ。




十七日夜、乘雨暗、密遣千人出城用工。內開挑濠塹六百五十人、防護開濠弩手並敢勇叉鐮手共三百五十人。並就城上密擺三層弩手。


十七日夜、雨暗に乘じ、密かに千人をつかはし、城をでて用工せしむ。內、濠塹を開挑するもの六百五十人、開濠を防護するの弩手並びに敢勇の叉鐮手、あはせて三百五十人なり。並びに城上に就きて密かに三層の弩手をはいす。




二十一日夜、差二千人。內開撅濠塹一千五百人、防護開濠弩手並敢勇叉鐮手共五百人。



二十一日夜、二千人を差す。內、濠塹をかいけつするもの一千五百人、開濠を防護するの弩手並びに敢勇叉鐮手、あはせて五百人なり。



――――――――――



(*1)

重兵


 重量級に装甲を厚くした兵士ではなく、多層に重ねた編成の軍勢。

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