原文

二十四日、虜擁眾涉小樊安陽灘過江。防灘弩手並射、死傷淹沒幾萬人。虜酋不恤、驅迫而過、西自萬山華泉穀、東自赤岸漁梁平、連珠下寨、圍繞府城。


軍民恐懼。公慮人心不固、遂將府城四門用土填塞、示之死守、使人無去志。公以虜賊新至、營壘未定、可擊。



二十四日、虜、しうを擁して小樊の安陽灘を涉りて江をよぎる。防灘の弩手、並びに射するに、死傷淹沒、幾萬人なり。虜酋、うれへず、驅迫して過り、西は萬山り華泉殻、東は赤岸自り漁梁平、連珠してさいを下し、府城をぜうす。


軍民、きようす。公、人心、固からざるをおもんぱかり、遂に府城四門をもつて土を用ゐて填塞し、之に死守せんことを示し、人をして去志無からしむ(*1)。公、虜賊、新たに至り、營壘、いまだ定めざるを以て、擊つべしとす。



――――――――――



(*1)

將 もって。


 ここでは「以」と同じ用法。


 漢文の教科書では「將」は「まさに~せんとす」という再読文字として現れるが、『襄陽守城録』では「もって」や「ひきいる」という使い方が為されることも多い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る