第2話 憧れと現実
トルト村に来た三人組の冒険者、彼らは僕、ガルの憧れの人物になった。
キリト街から朝出て二回夜が迎える頃にたどり着ける場所にあるトルト村、彼らが訪れたのは街の国立冒険者協会から依頼されたトルト村の厄介事をを処理してもらうためだ。
ゴブリンと呼ばれる緑色の小さい角が生えた腹の出た小人、大きな群れから離れた五匹以上の群れを野良と呼び、その野良がトルト村の農植物に被害が出ていた。襲われる度にゴブリンは体格が良くなっていく。
今のところ人に対して被害はないが、だがある時を境に人間にも襲いかかってくることがあり、農民の子だった僕や村の人々は不安な日々を送っていた。
そんなある日、冒険者が到着した。
「よかったこれで、たすかるな」
父の言葉が耳元に響き渡った。村人は冒険者を快く受け入れていく。
巨木のような屈強な肉体を持つ渋い顔の大剣使い、細い狐のような双剣使い、そして耳の長い美貌をしている女弓使い。
彼らは村長の家に入っていった。そして一日もたたずに困らされていた野良のゴブリン達を退治してくれたのだ。
村人達はもちろん喜んだ。彼ら冒険者に報いたい。村の男達の唯一の趣味の酒を出し合い小さいながらも宴を開いた。
冒険者達が喋る冒険談は仲間の大切さや強敵に対峙した心持ちなどを語り村人達を大いに楽しませた。
彼ら冒険者のようになりたい。
危険なこともわかっている。農民の子だけど、次男の僕には継ぐ農地など存在しないならば冒険者になろう。
そう決意し父に伝えた。だが僕を見て。
「まだ早い。そうだな……
年月草、それは寒い時期に咲く花であり、それも咲く日は一回のみ残りの日は蕾のまま過ごしている植物だ。
………
あれから年月草が三回咲いた。
僕はトルト村で過ごし、身体が出来てから父から許しをもらい。
そして憧れの冒険者に僕はなった。
だが、身体が出来ていようと武器の扱いがからっきしで装備も貧弱、手元で回す小さいナイフが僕の持つ唯一の武器だ。
ゴブリン一匹の倒せても、それ以外は苦戦を強いられる。そして弱い僕は一人になり、掲示板に張り出された薬草収集や動植物園の排出物の回収など、誰もしたがらない依頼にせいをだし、ギリギリの生活を続けている。
苦しい生活だが、トルト村に戻ることはない。もう居場所がないからな。
そして僕は冒険者協会から出て、キリト街の西にある森、濃霧で
そこで何時ものように薬草収集だ。
そんな変わりない日常となった日、僕はその森で厄介事と出会いをすることになるとは、思わなかった。
不明の遺物とガル 林 木森(はやし きもり) @Saharasan
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