不明の遺物とガル
林 木森(はやし きもり)
第1話 出会い
血飛沫と生臭い血の臭い。
薄暗がりの埃舞う部屋の中に一匹の首が切り落とされたウルフの死骸。切り口から流れる血が地に広がり僕の足を汚す。
圧倒的だった。僕は目を離せない。
細く長い片刃の美術品かのような剣を右腕で大振りし血を吹き飛ばす。
背の高く細い体つき、健康的な日焼けした肌だけど左腕、左手から肘にかけて薄気味悪い紋様が這うように刻まれており色は赤黒く脈打つように見えてしまう。
異国の着物と呼ばれる服を着ており、左袖がない。擦りきれた袴から見える足には植物で作られた親指と人差し指の間から出た枝が足の側面で縫い付けてある簡素な靴?をはいている。
色の抜けた白い髪は肩で切り揃えられているが所々跳ねていた。と髪が揺れる。
振り向いて僕を見た。
「女の人だったんだ」
振り向く際に見えた胸元を巻く布のようなものが見えた。そして小さい膨らみの胸、そして顔を見て呟いていた。
鋭い目の凛々しい顔立ち、女の人は僕を見た後に片刃の剣を地面に突き立てる。その瞬間剣が地に飲み込まれる。いや、剣の接触している地面は黒く歪んでいた。
それは魔術の痕跡だった。
「……」
僕は今までおきていた事に頭が追い付かない。そんなところに女の人がいう。
「貴方が私の次の所持者か? 」
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