第10話
「ほ、本当だっ!ここにはもう誰もいねえっ!ハガ兄の屋敷はこの山の反対側のふもとだっ!きっとそこに違いないっ!」
月法会の生き残りはマッスルとゼロに命乞いをする。しかし叶わない。
ゼロの手刀で男の首をはねる。首はゴトっと落ちて総本山の頂はマッスルとゼロだけになる。
「ふもとか、マッスル急ごうっ!」
マッスルは頷く。
建物の奥にふもとへ続く山道がり、先に屋敷が見える。
「あそこだな、マッスル行くぞ」
2人は屋敷へと向かう。
ハガはナリムラの反逆に気付かず呑気にお茶をすする。
そこにブザーが、鳴り響く。客人かな?
「はいはい。ちょっと待ってやー」
ハガは玄関に向かい、草履を履き玄関引き戸を開ける。
「はいはい、どちらさ……!!」
呼び鈴を押したのはゼロとマッスル。仁王立ちでハガを出迎える。
「な、なんでここが分かったんや…!」
「俺は表札の名前をちゃんと読む男。貴様の野望も今朽ち果てる。俺の姫を返し土に帰るといい!」
「くっ。そうはいかんで!このボタンを押せば頂の武者小屋からお前たちを倒しによーさん信者が来るで?」
「押したければ押せ。誰も来ないがな!」
ハガはボタンを連打する。
「どやっ!命乞いしても、もう遅いで!」
少し、謎の沈黙が3人に流れる。
ハガはチラっと山の上を見る。
「お、遅いな」
「愚かな奴め。俺たちがここにいると言うことは上はもう壊滅している。子供1人残ってはいない」
ちなみに、信者たちの中には子供や老人も数多くいたが、現世の肉体から精神を解放させた方が悪しき宗教に蝕まれるよりマシだと判断した。
「こ、この悪魔め!」
「悪魔はお前だろう?さっさと俺の姫への元へ案内しろ。死にたいのか?」
ハガはゼロに首を掴まれもう絶体絶命。
「こ、こっちや」
ハガに案内され屋敷の奥へ進む。マッスルはちゃんと足の裏を叩く、人の家に上がる礼儀を心得ているのだ。
「た、頼む。命だけは堪忍してや」
「幼気な少女を連れ去った貴様にかけてやる情けはない、俺は非常な男」
「そ、そんな。こ、この部屋におるはずや!ナリムラちゃんと」
ゼロはハガの首を掴んだままマッスルに目線をやる、マッスルは頷きドアを開ける。
それはあまりにも残酷な光景だった!
M字開脚に縛られた少女に中年の男がもたれかかり、結合部からは白濁としたものが血と絡み合い滴りおちている。
3人は言葉を失い驚いた。
「貴様…!!」
ゼロのハガを締める手に力が入る。
「あがっ!!」
ハガひ必死に抵抗した。こんな状況は想定していなかった。
マッスルはココナからナリムラを引き剥がした、その際ナリムラが絶命している事を知る。
「許せん、俺の女で腹上死するとはっ!」
ゼロも怒りが収まらない。
ハガを室内に投げつける。ドダっと床に転げ落ちるハガ。
マッスルはココナを解放し、床に寝かせる。
そしてゼロの肩を叩く。
「マッスル…。分かった、俺が介抱しておく、お前は奴を成敗してくれ!」
ゼロはマッスルの意を組みココナを介抱しだす。
ゆっくりとハガに近づくマッスル。
哀しみと憎しみがマッスルの筋肉に力を与える、膨れる筋肉、一歩進むごとに迫力は増し、地に足が減り込む。
「ひいっ!」
ハガは尚も後ろへ退き抵抗を試みる。
薄汚い宗教の一味!その頭よ!望みどおり魂を解放してやろう!!
まずマッスルはハガの左足を砕く。
「あぎゃあぁぁぁ!」
汚い悲鳴が鳴る。
両腕の膝を掴み、体から毟り取る。
「んぎゃあっ」
まだだ!まだこんなものでココナの絶望と対等ではない!
マッスルは今生の力でハガの腹を突く。
自らの腹の破裂音にハガの耳からは血が噴き出る。
「も、もう、ひゃすけ…」
その言葉を最後にハガは細かな肉片になり部屋中に飛び散った。
「こ、ここは…?」
ココナが意識を取り戻す。
「大丈夫か?」
「お兄さん、誰?ココナは、大丈夫ダヨ?」
「ココナちゃん…!俺はゼロ!そうか、君が無事でよかった」
「お兄さん、なんで泣いてるの?あ、マッスル!」
マッスルは優しく頷く。
安心しろココナ、もうお前を怖がらせる糞はいない。
強がっていたココナは辺りを見回し、マッスルとゼロに助けられた事を知り、安心してまた気を失う。
「なんと、気丈な娘よ」
ゼロはココナを抱き上げる。
「行こう、マッスル。お前の旅に、俺も同行させてくれ」
マッスルは力強く頷く。心強い味方ができたのだ。
マッスル☆パラダイス 森 トモヒロ @m-tomoxxx
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