第2話


その後は毎日だった。


病院に行くように言っても、カウンセリングを勧めても、妻はそれをきっぱりと拒否した。


そして言うことは同じだった。


「なんでもないの」



そしてある夜、うなされている妻に声をかけると、妻が立ち上がり、叫んだ。


「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーーーっ!」


絶叫だった。


思わず腰が引けた私を、妻が見下ろした。


「……ささら、が、来る」


そう言うと、崩れるように倒れこんだ。


私は妻を抱き上げた。妻はすでに息絶えていた。



悲しみの渦の中、私はささらについて調べ、そして見つけた。


ささらとは、東北のある地方の言葉だ。


そしてそれは、水子を意味するのだった。



     終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ささら ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ