通知簿をもらう日のドキドキが丁寧に描かれています。評価が気になって仕方がない子もいれば、全く気にしない子もいて……でもほんとはどこかで意識している。それぞれに頑張っている姿が目に見えるようです。
瀬尾まいこさんを読んだ時に似た、読後に優しい風が吹くような温かな作品です。小学5年生という捉えづらい時期の心の機微を、正確に見つめて、描写仕切る確かな筆力があります。あの日の「あゆみ」をもう一度開いてみようかな、と思わされました。
誰しも子どもだった頃があって、ひらがなで書かれた成績に一喜一憂したことがあって、未完成な思考と感情で傷つけあったことがあって。大人になれば忘れてしまうような仔細まで、優しく丁寧な筆致で描かれています。この作品に限らず、筆者の登場人物に寄り添うような柔らかな表現が大好きです。
皆んなに頑張る理由があって、皆んなに悔しい理由があって・・・。勧善懲悪なんてない マーブル色の“あの頃”の物語・・・。大好きです。
小学生が成績表を貰う、秋の一日を切り取った作品です。 「子供」から大きく足を踏み出す年頃の女の子と友達。みんなそれぞれ事情があって、悩み、考え、互いのことを思いあう。その姿が瑞々しく浮かび上がります。 この時期の子の心って、凄く複雑で繊細なのでしょう。それでもみんな、目の前の出来事に、正面から向き合い、受け止める。その姿がとても素敵で、胸に迫ります。 こうして魅力的な大人になるのでしょうね。 夏を越え、秋風とともに成長する主人公やクラスメイトの姿を、見守って頂きたいと思います。
思春期の少年少女の瑞々しい感性が描かれていて、誰もが一度は通って来た時期が鮮やかに蘇って来ます。大人になる為に色々な事を学ばないとなりませんが、それでも一番大事なものは何かを教えてくれる作品です。願わくば一人でも多くの読者に読んで戴きたいと思いました。