私と特撮

ナベ奉行

第1話

私の始まりはウルトラマンだ。


男の子がデカくて強いものが好きなのは言うまでもない。

私も例にもれず大好きだ。


幼い頃はウルトラマンのソフビ、ようは簡素な人形を短い腕でよく飛ばしていた。

腕しか動かなくても画面の向こうに手を伸ばせないのだから仕方ない。


自意識が目覚めたときはカクレンジャー、戦隊ものだった。

小さかった剣を振りましてたし、大きな布で忍術も使っていた。

隠れ蓑術である。ただし、布の柄が派手すぎた。


そして仮面ライダーブラックである。南光太郎の変身時に強く拳を握りしめるシーンがある。

私も握りしめた。だがしかし、あの音が出ない。ギュウギュウとした音が出ないのだ。

つまり、変身できなかった。


次は仮面ライダークウガ。だが、これは当時は適当に見ていた。

この頃は戦隊とか仮面ライダーとかに未だに興味があるのは恥ずかしいという空気であった。

私は小銭を握りしめ、カードを買い漁る日々を過ごした。


転機は弟が生まれたことだ。年が10以上離れた弟との会話を成立させる為に一緒に仮面ライダーWを視聴した。これは小学生の頃大好きだったマンガのひとつ、ドラゴンクエストダイの大冒険の原作者の方が脚本を書かれている。

まるで少年漫画のような熱いストーリーに今や当たり前となったフォームチェンジ、ベルトのギミックの面白さ。ドハマりしてしまった。

その後も特撮を見続けた。


まずは牙狼だ。

ホラーテイストもありながら、あのアクションシーンは興奮した。

ダメージを受ける演技がとても上手で、戦闘に緊張感があった。

名作である。パチマネーとか馬鹿にしてはならない。


最近ではウルトラマンオーブを視聴し終えた。

あれもいい。撮影方法が巧みで、あんな演出を魅せられたら私はどうすればいいんだ。全話見た。子供たちへのメッセージ性の強い、愛に溢れた作品だった。


特撮を大人になって見直すと大人たちの、製作者が子供たちの未来にどれだけ希望を灯そうとしているのかを感じる。

オーズの正義を問う回とか、クウガの先生との再会の回とかが私には印象的だった。

時に人間の汚さを見せる時もある。

誰かが教えないといけないことだ。


最近の子供達に大人たちが伝え忘れた当たり前の正しさを特撮は示しているのだ。

でも、私のようなめんどくさい楽しみ方よりも、ただ単純にかっこいいとかでもいいと思う。それは正しさから生まれるカッコよさだから。


おわり




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私と特撮 ナベ奉行 @niik

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ