登山が趣味である五十歳の丘田步高は、『バーチャルクライミング』を体験し、すっかりその性能のすばらしさに魅了されてしまう。
VRマシンの性能もさることながら、丘田の気を引いたのは魅力的な女性インストラクター。
しだいに、バーチャルクライミングにのめり込んでいく丘田だが――。
登山と同じく、ストーリーはゆっくりと高みにのぼっていき、最後は愉快なオチに到着する。
コメディテイストの作風から少しだけのぞく著者のシニカルな視点に、ニヤリとさせられる。
ところで、レビューを投稿した今日は10月3日。10(と)、3(さん)のごろ合わせで『登山の日』らしい。
偶然ではあるけれど、ご作品にぴったりの日にレビューできたことに、奇妙な縁を感じる。