4回裏「新技開発」

 厳しい指摘もあったが、なんだかんだで、このチームには認められたようでエースチームの開幕レギュラーを勝ち取れそうであった。

 しかし、問題はある。去年までは正直オーク狙いだったので、命の危険はないしほとんど相手も1体のみであった。


 しかし今年からは積極的に、ゴブリン達とたたかう必要がある。それには俺にも新たな技が必要だ。

 今回のキャンプでは、なんとか俺は球種を増やしたかった。


「さすがに、ファイヤーボール一本じゃなぁ…。」

 

 基本的に、リーグの勇者たちはそこまでいろいろな種類の魔法を使えるわけではない、多くても2種類、レジェンドクラスのエルフなら、火、水、風。振動、促進のすべての魔法を使えるが、俺は火の魔法と、気持ちばかりの振動魔法が使えるくらいである。


 振動も、せいぜい直接相手に与えると、マッサージ効果がある程度のもので、実践的な能力はない。まぁ、プロを引退したら、マッサージ屋でもやるかと思って身につけた能力である。


「よう、エースチームはどうだい?」

 去年まで、同チームだった弓矢使いの2番ショーツカが声をかけてきた。


「全然レベルちげぇよ、入れたのは光栄だけど不安しかない。」


「まぁな、でもよかったかもな、来年はオーク0Pだろ。俺のチームは今躍起になってゴブリン対策だよ。俺は年棒上がったけど、ドーダイさんなんか引退すっかな

って言ってるわ。」


「ゴブリンでも俺の炎は通用するから、案外何とかなったかも知れないけど…。そうだ、なんかいいアイデアないかな、技増やしたいんだけどな。」


「…まぁ、俺は魔法使いじゃないからな…何とも言えないんだが、エースチームでは2番担当なんだろ、つまりは俺と同じ足止めと…。」


「あぁ、3番、4番の攻撃力が異常だからな。的確に足止めするのが俺の仕事だ。」


するとちょっと考えて、ショーツカが言った。

「炎の威力を落としてもいいんじゃないか。今までは全力だったろう?」


「威力を落とす…、そりゃあ、前は場合によっては炎で仕留める必要があったからな。」


「だから、もっと、補助に徹した魔法でもいいだろう。威力さえなきゃ、連発するとか、分かれさせるとかできそうじゃん。」

 この意見は確かに的を射ていた。確かに今までは自分の力で敵を倒そうと必死でそれしか考えてなかった。

 だが、今回は補助中心でいい、威力を落としていいのなら、俺の技はいろんな変化を起こせそうな気がする。


「…なるほど、ショーツカありがとう。」


そうして俺はショーツカのヒントを元に新技の開発に挑むのだった。

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「勇者の今期年棒は10%減の9万Gです!」 ハイロック @hirock47

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