第4話
「ハァー、やっと着いた、屋上はここで合ってるのか?」
クロトは学園内に残っていた生徒達に訪ねながらようやく屋上にたどり着いた放課後になり大分時間が立ってしまったが、少女がまだいるとは思えないが一応約束を果すと屋上に続く扉を開く、そこには昼休みにクロトが屋上に行かなければ行けない理由を作った女子生徒の晴野陽羽里がまだベンチに腰を掛けて座って待っていた、クロトが遅くなった事を謝る為に近く寄るが微動だにしない、不思議に思い顔を覗きこむと晴野は眠っていた、仕方ないと隙間を空けて同じベンチに座るクロト、ベンチで眠っているなら暫くしたら起きると思い多機能腕輪式腕輪、通称ウォッチを起動させて渡された資料を読み更けていく。
暫くして空は茜いろに染まりだした頃、隣で眠っていた少女が覚醒したのだろう、もぞもぞと動き出す。
「うーん、ハーア、ふう」
「ようやく起きたか」
クロトは操作をしていたウォッチの画面を消して晴野を見た。
「え!?」
晴野は驚きながら顔をこちらに向ける、クロトは晴野の顔を見て上着のポケットからハンカチを取り出して晴野に手渡して言う。
「口から涎が出てるぞ」
「え!?」
晴野は手渡されたハンカチで口の回りを拭き、そこでようやく寝惚けていた頭が回り始めたのだろう、突然立ちあがり数歩後退り周囲見渡して現状を確認する。
「そうだ、遅れて悪かったな」
「い、いいですよ、今ここにいるなら」
晴野に向けてクロトは手を出す。
「ハンカチ、使い終わったんだろ?」
「い、いえ、洗って返します」
「別に汚れるものだ、服とまとめて洗うから構わない」
「こっちが構うんです」
「お、おう!?」
クロトは晴野が何かに怒っているか分からないが、本人が言うならそうさせる、クロトは軍と言う男女平等な縦社会に長い時間染まっている為に、女性に対しての機敏どうしても疎い傾向になる。
「そういえば、話があるとかなんとか」
「あ、はい、すいません時間を頂いて、あの話なんですが、クロトさん貴方はセントリア戦役に従事していましたよね」
「セントリア!?」
セントリア戦役、アトランティスの国土でありレムリア領域からの都市では一番近接していた都市の名前で有った、しかし、レムリアとの軍事行動で国境間の警備が崩れた際に、電撃作戦で都市か占領され、その後直ぐ様アトランティス軍の奪還作戦が決行された為に、セントリアは両軍が雌雄を決する戦場となり、両軍合わせて二百万の死傷者及び大量の民間人に被害が出ているが、民間人の死傷者リストセントリアも焦土とかし個人データベースが消失した為、正確な人数が現在も把握されていない、現在はアトランティス軍が国境迄レムリアを押し返した、廃墟と化した都市である為にレムリア軍を引き込む作戦で使用する為に復旧は軍事関連だけに留めているので、復旧される目処は立っていない、人々は皮肉込めて血の華が咲き乱れる都の意で、血華の都セントリアと呼んだ、以上がセントリア戦役と呼ばれている項目である。
なお、作戦参加者の情報は軍機項目に該当している。
(アトランティス軍情報部隊提供資料より)
クロトはふざけた態度を止め、殺気で人を殺せる様な身に纏い晴野を睨む、晴野は数歩後退りながら受け止め立ち止まる。
「軍内に措ける軍機項目に該当する為に、セントリアに措ける情報は解放されていない」
クロトはそう言って殺気を消しどことなく掴み所の無い雰囲気を漂わせる。
「もし、その情報が知りたいのならば軍に入れ」
「・・・ただ軍に入ればいい訳では無いですよね、勿論」
「そうだな、俺個人の情報が欲しい訳ではないだろ?」
「はい、セントリアタワーの辺りに従事した部隊で知りたい事が有ります」
「成る程な、晴野、今所属の科は?」
「情報科です」
「駄目だな、それで軍に入隊しても、それじゃ欲しい情報は手に入らないな」
「何でですか!?」
晴野はクロトに噛みつかんが形相で歩み寄る。
「現場の情報は現場が扱う場合が有るんだよ」
「ならどうすれば」
「あまり一人の生徒に肩入れするのは好ましく無いが、戦闘科に来い」
「戦闘科!?」
「ああ、戦闘科だ、もし本当に知る覚悟が有るなら転科しろ、話はそれからだ、だけどな、あんたぐらい器量が良ければ別の道を歩けるだろう、わざわざ危険な世界に来なくてもな?」
「私は・・・それでも」
クロトは晴野の発言を手で制する。
「とりあえず、一晩考えることだ」
クロトは振り返り後ろ手で振り階段に続く扉を開けて帰っていく。
「そう、それだからこそ私は」
クロトのいなくなった屋上で少女の声が風に乗り消えていく。
アイアンドラグーン 鋼鉄の竜騎兵 六月 @rokugatu
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