第二話 ゲームの勇者様
どんなゲームなのか。今ジョニーは不安と期待で胸がいっぱいであった。
「もしかして、これは呪われたゲームなんじゃ・・・」
呪われたゲームというのは、今巷で話題になっている噂だ。これはどのようなものなのかというと呪われたゲームをやったらゲームの中に閉じ込められ、実際ゲームで死んだりした場合プレイヤーまでも死んでしまうという。その死んだプレイヤーの行きつく先はまだ誰も知らない。噂が立ってしまった理由は実際に起きてしまったからである。ゲーム会社はその事実を隠蔽しようとした。しかし、その体験をした人の保護者が広めてしまった。それにより、公にテレビなどには報道されてはいないが都市伝説として残っている。そして、この呪われたゲームというのは、名前があるらしい。名前は「第一次異世界対戦」
「まさかな・・・」
そう思いながらもジョニーは実はソフトの名前をまだ確認していないのである。だが、確認してもいないのに何故か不安が胸をよぎる。ジョニーは都市伝説や怪奇現象は信じないほうだがこの呪いのゲームだけは何故か心に残っていた。不安をかき消すためにジョニーは早く家に帰って名前を確認しようとした。何故今確認しなかったかというと、確認する勇気がなかったからである。だから家に帰って確認しようとした。
おんぼろの家だが、一応この家はジョニーの祖父の代から続いているものなのである。誰もいない玄関に入って一人でただいまを言うとすぐに部屋に駆け込んだ。そして、恐る恐る名前を確認した。
「第一次異世界対戦・・・」
その瞬間顔からは冷や汗を吹き出し、呼吸が荒くなる。ゲームにそこまでしなくてもと思うかもしれないが、ジョニーは祖父の墓から見つかったこともあり、都市伝説もあるため、怖かった。
「嘘だろ・・・何でここにあるんだよ」
そう思った瞬間ベルが鳴った。
「はぁい」
「ジョニー様ですね」
男は帽子を深くかぶり顔は確認できなかった。男は
「本当にあのゲームをやるつもりですか?」
と言った。なんで自分がゲームを持っていることが男にわかるのかジョニーは疑問に思った。
「ちょっと待ちな!なんで俺がゲームを持っていることを知っている!」
「それは言えません」
「なんで言えない!監視していたのか!テメェは誰だ!」
喧嘩口調になっていたのはジョニー自身が一番よく分かっていた。動揺を隠せない。はぁ、はぁ、という息の荒さはジョニーの怖さを表していた。
「怖いのですね?怖いのならやらないほうがいい。これは生半可な気持ちでやるもんじゃない。」
「ああそうかい。でも俺はゲーマーでね。だてにここまでやってきたわけじゃないんだよ!」
「忠告はしましたからね」
そういうと男は闇に消えた。
「さぁ、やるか!!!」
怖くもあった。しかし、やると言い切ってしまった。それに祖父の想いもある。やるしかない。ゲーム機を頭にかぶりソフトを入れる。
「職業を選択してください」
ゲーム内のアナウンスがそう言っている。
「なんだ、ただのrpgか。なにがあるのかなぁ?」
次の瞬間ジョニーは息をのんだ。
「死人・・・?」
死人とは死が定められた人のこと。しかも、死人しか選択肢がない。
「マジカヨ・・・ずいぶんなめられたもんだ!現実はニートだが、ゲームの世界では勇者様なんだぜ!」
そういうとジョニーは張り切って死人を選択した。またアナウンスから声がした。
「このゲームはクリアするまで現実に戻れません」
「分かってらぁい!」
次の瞬間ゲームの景色が変わった。どうやら中世のヨーロッパが舞台らしい。
周りにはギロチンが並んでいる。ジョニーの後ろと前には縄で手をつながれた人がぞろぞろと並んでいた。ジョニーの手にも。
第一次異世界対戦 @taatyann
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