第一次異世界対戦

@taatyann

第一話 扉

「ブロロロ」

人員輸送機の耳をつんざくエンジン音が聞こえる。私は一人のアメリカ兵として今、この飛行機に乗っている。私は一つの空挺師団に所属していた。ここから全員一気に飛び降り、敵を襲撃する。訓練では何度も練習を重ね、きっと生き残れると信じていた。何よりも私には妻がいる。この戦いは絶対に負けてはならない。

ほかの兵士を見回すと額に冷や汗をかいたりしている者もいる。目に涙を浮かべ必死に妻の名前をつぶやく者もいる。神頼みをしている者もいた。機内は戦いに行く者のつぶやき声や泣き声でいっぱいだ。一人の男が寄ってきた

「名前は?」

「ジョニーだ」

私は答えた。平凡な会話に見えてもこれが死ぬ前の交わした言葉なのかもと思ってしまう。男は

「いい名前だ」

とだけ言った。

「そろそろ飛び降りる。準備をしろ」

声がかかった。自分でも心臓がドクドクと動くのを感じる。私は自分に言い聞かせた。大丈夫だ、安心しろジョニー。そして、一斉に人員輸送機から全員飛び出した。私も空中に身を投げた。パラシュートがまるで空に咲く花のように感じた。下からは銃弾が襲い掛かった。空中では身動きがあまりできない。私の次に飛び降りた人は銃弾を胸に貫かれてパラシュートを開く前に死んでいった。その死体が私の前を通り過ぎた。その男は私の名前を聞いた男だった。

ああ、神よ。何故世界はここまで残酷なのか。その瞬間どこかで声がした。

「ならば変えてみよ」

 俺の祖父はもう死んだ。俺の祖母の話だと50年前がんで死んだらしい。名前はジョニー・スコッチ。しけた名前だと今でも思う。どうやら空挺師団部隊にいたらしい。生まれる前に死んだもんだから感情湧かない。そう思いながら俺、47歳ことジョニー・バードは機械を頭にかぶった。今、技術は急激に進歩した。驚くほどに現実感のあるVR世界を体験できるんだもの。俺が頭につけてる物?これはTOBIRAという日本が開発したゲーム機。現実とゲームの間に存在する扉を表したものらしい。俺はたっぷりとTOBIRAを楽しんだ。もう爺かもしれんがゲームはいまだにはまる。親はもう逝っちまった。残された俺は知人から金の寄付を受けてただひたすらに遊ぶ。廃人確定爺だ。俺はゲームにも飽きたし、久しぶりに俺の祖父が眠る墓を訪ねた。墓を掃除してたらあるものが見つかった。何やら手紙まである。

「親愛なる我が息子 ジョニー・バードへ

 お前が世界を変えな!俺の分まで頑張れよ!

 君の父 ジョニー・スコッチ」

手紙の中にはTOBIRAのゲームカセットが入っている。

まてよ?なんで50年前に死んだ父親がこんなもん持ってんの?まず、なんで俺の名前知ってるの?俺は急いで家に帰った。

 彼はまだ知らなかった。ここから先に起こる出来事、地獄のTOBIRAをくぐってしまたことを。

 

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