コーヒー2杯
我ながらここまでの展開の早さは凄いと思う。いきなり天使の間的なとこに行って
いきなり天使らしい人怒らせていきなり異世界転生していきなりギルドにたどり着く。
よく考えたら全然町を見ていない。見る暇がなかったのか、俺が夢中だったのか。
「なんだこれ?」
とりあえず横の建物を見てみるとそこには……
第288回奴隷オークション
今日、当建物の地下一階大スタジアムにて奴隷オークションを開催いたします。マスターの方々は売りたい奴隷を連れて受付にて登録をお願いします。
全部ではないが趣旨はこんな感じの張り紙が堂々と貼ってあった。
別に俺は見知らぬ人を助けるような正義感と勇気を持っているわけではない。
しかし、そこには泣きながら「お姉ちゃん」と呟いている小さい男の子の姿があった。
おそらく入り口にいれば最後に姉に会えると思っているのだろう。
そして彼は一瞬だけ目を輝かせた。
「お姉ちゃん!!」
彼は馬に引かれた檻の中にいる少女に向かって叫んだ。
「なんだこの餓鬼、ちょうどいい、お前も売っちまうか。」
奴隷主とおぼしき人物はそう言うとその子を姉と同じ檻に入れ、そのまま建物に入っていく。
そんな、光景を目の当たりにしていたのは俺一人だった。
俺が少し勇気を出していたらあの姉弟を救えていたかもしれない。
そう思うと無性にただ突っ立っていただけの自分に腹が立ってきた。
なにかにとりつかれたような俺は気づいたらその建物に入り、オークション会場に座っていた。
「皆さん、お待たせしました!!これより奴隷オークションを開催します!!」
突然ステージに登場したピエロのような格好をした不気味な男は悲劇の幕開けを知らせた。
その知らせに観衆はどっと沸く。
その男は続けて口を開く。
「あなた方はどのような奴隷をご所望ですかな?性処理に使える女奴隷?はたまた労働に使える男奴隷?さぁ、右手に札束を持って自分は人生の勝ち組だと言うことを示すのです!!」
狂ってる、その言葉以外思い浮かばない。
そして、さっき出会った姉弟が無表情で縛られてステージに連れて来られた。
「おやおや、美しい姉弟だ。たまりませんね。この姉弟を引き離したときにどんな怒りと悲痛な叫びが奏でられるのか。さぁ、ではオークションを開始します!!」
その声と共に番号札が一斉に立てられ、よく分からないお金の額などが飛び交う。
それを聞いて俺は何を思ったかステージの上に立っていた。
「おやおや、お客さん。困りますねぇ~。席に座っていただかなきゃ。そんなにこの奴隷が欲しいのですか?しかし、奴隷に対する愛情の示し方が違いますねぇ~。愛情はお金で表現しないと。貴方の示し方は今どきナンセンスですよ。」
気持ち悪い口調でピエロの男は俺を威圧する。
「奴隷なんて欲しくないね。俺はこの世から悲しみを出来る限り消す。さっきお前らを見てそう決めた」
はい、格好いいことを行ったつもりですけど内心めっちゃめちゃ震えています。
「なんと!!素晴らしい。貴方のような強い意志を持つ人が屈するときの絶望にまみれた顔を私は見たい!!みなさん!!突然ですがステージにてショーが始まります!!
解体ショーになるかもしれませんがねぇ~ヒッヒッヒッヒ」
気色悪い笑い声と共にピエロは巨大な剣をどこからか取り出し、それを俺に向けるわけではなく奴隷の姉弟に向けた。
「おい、何やってんだよ。相手は俺だぞ!!その子達は関係ない!!」
引き止め、叫ぶ俺にピエロは一瞬見つめ、大剣を姉の女の子に振り下ろした。
ホワイト タウン バランスボール @hyuri07
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