第13話 ゴブリンさんと村到着
『なかなか良イ戦いだったナ』
ミューの初戦闘を見てゴブリンさんは腰を抜かしてしまったミューに声をかけた。
召喚獣でもあり教官でもあるゴブリンさんはある程度ミューを褒めながら、今回の戦闘について振り返りながら最後にミューにある事を聴いた。
『さテ、ミュー今回の戦闘ヲ終えテ何か思った事ハあるカ?』
ミューは顎に手をあてて暫く考えてたあと、その時を思い出しながらしっかりと答えた。
「はい。まず訓練通りに体を動かせたのは良かったです!狙い通りのラインで魔獣に刃を突き立てられました」
『ふム』
「全体的にはよかったと思っています。ただ少しだけ興奮してしまって、、、それを落ちつかせるのに余計な労力を使ってしまいました。もしかしたらもう1匹くらいはしとめられたかもしれません、、」
意外にもミューは反省気味であった。ゴブリンさんの目から見ても初めての戦闘にしては上出来であり、感想を聴きながらミューの反省点をそれとなく伝えるつもりだったが、ミューは己の足りていなかった所を既に理解していた。
『そうだナ、それは次に活かせばイイ。存在の力が体に入ってきた後に冷静で居られるとはナ。武術展開の訓練が良い教訓になったカ?』
「そ、その話で揶揄わないでください!!」
『フッ』とニヤリとするゴブリンさんにミューは顔を赤くしながらも絶対的安心感のおかげで抜けていた腰にも力を入れる事ができるまで回復していた。
『遅くなってモ心配をかけル。馬車にもどるゾ』
「はい!」
ミューはしっかりと立ち上がり、手を握っては開いて魔獣に突き立てた刃の感触を確かめながら、今日のことはきっと忘れはしないだろうと心ながらに感じたのであった。
⭐︎⭐︎
「ミューさん!!大丈夫だった!?それとゴブリンさんに酷いことしちゃった、、、ごめんね」
「はい!!私一人で魔獣を1匹倒して、他は撃退?しました!こちらこそゴブリンさんがすいません!!びっくりしましたよね??」
ミューとゴブリンさんが馬車に戻った時ちょっとしたアクシデントが発生した。
ナーコはミューの言うとうり馬車の中で御者を護衛しており、いつ終わるかもわからない緊張感の中にいた。そんな中ノックもせずゴブリンさんが馬車の中に入ってしまいナーコはゴブリンさんを普通のゴブリンだと勘違いしてしまい切り掛かってしまったのだ。
『うム。我はなんともなイ、心配に及ばン。次からはノックと言うものをしよウ、すまなかっタ』
「ゴブリンさんは少し反省してくださいね!!」
『教訓としよウ』
幸いゴブリンさんはなんの焦りもなく襲い掛かるナーコを組み伏せて見せたが、その場面でミューが馬車の中に入った事もあり、一体何事だと大騒ぎになった。そうしてお互いの謝罪で事なきを得て今に至る。
「しっかし魔獣を嬢ちゃん一人で魔獣を倒すなんてすごいね!助かったよありがとう」
「はい、倒せてよかったです!」
「ミューさん、魔獣退治の話よかったら聞かせて?」
「もちろんです!!」
旅の途中で止まってしまっていた馬車がまた動き出し3人の旅がまた再開された。
ミューはナーコに魔獣退治の話をしながら、時折ゴブリンさんのアドバイスを翻訳して道中を楽しんだ。
2日目の野宿。周りはとても静かで目の前の焚き火のパチパチと木々が弾ける音だけが響いていた。ミューは明日到着するナーコの村の事を思いなんとなく眠れなくなっていた。
(今日の魔獣退治ので流れてきた存在の力。あれは自分をまるで作り替えるような感覚がしました。冒険者の中には戦闘狂になる人も多くいると聞きますが、存在の力に呑まれてしまう人もいるのでしょうか、、、)
力を手にすると人はどうしても調子に乗り、その力をもっと求める。それは人の本能のようなものだ。それをコントロールして己を律するのが重要だとゴブリンさん常にミューに言って聞かせていた。
(存在の力を求めた人族のせいで仲間を失ったからこそ、ゴブリンさんは私に口酸っぱく言っているのでしょうね。己を律する。私は力に呑まれず、これからも私は力をコントロールしてみせます!)
ミューは自分を安心させるように言い聞かせた。
武術展開で力を得た自分が、どのような行動をしてしまうのかもう体験済みであり、きっとあれが自分の本質なのだとミューは理解していた。だからこそ余計にゴブリンさんの召喚主として、己を律する事を意識しながら明日に向けて無理やり眠りについたのだった。
そうして野宿を終えて迎えた3日目の昼過ぎ、
ミューとゴブリンさんは遂に魔獣被害に苦しんでいるナーコの故郷サトリ村にたどり着いたのであった。
伝説のゴブリンさんは召喚獣として召喚されたようです。 ナルスン @nnn1231
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。伝説のゴブリンさんは召喚獣として召喚されたようです。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます