異世界ファンタジーというよりは異世界SFと中世の混合といった世界観ですが、バランスが良く、こんな物語があったんだ!と読み始めた時は驚きました。
主人公の俺TUEEEEやハーレム展開が無いところも、物語をしっかりとした読み物たらしめています。(主人公強いですが。
戦闘の描写に色々詰め込んでいないあたりが、逆に高度な技術で戦っているのを感じさせて上手いです。
淡々とした文章のリズムは足並み崩れる事なく私たちを物語の世界に誘います。
お恥ずかしい事に、最近やっと政治劇が物語に含まれている事に気付きました。施政者の姿を描くのも上手いですね。
ラノベ系ではない出版社のほにゃらら文庫から出版されそうなクオリティ。
独特な文脈と入念に入り組んだ設定、そして少女と主人公タギを取り巻く壮大なストーリーに目と心を奪われました。
また子連れ狼や北斗の拳にも似た、確固たる親愛で徐々に結ばれる二人の姿に単純なニヤケとは異なり、心がほっこりするような温かさが芽生えます(笑)
また主人公が滅茶苦茶チートという訳ではなく、定められた範囲内で力と知恵を最大限に活かして窮地を脱する、もしくは他人の数手先を打つという振る舞いは頼り甲斐のある百戦錬磨の戦士のようであり、それが彼の魅力を更に押し上げています。
物語の歯車が進むにつれて様々な勢力と思惑が複雑に入り乱れ、更なる混迷へと突き進む中、この物語の中心に居る彼が如何に運命の荒波を乗り越えるのかが見所です。