第五十九回 齊王司馬冏は孫秀らを誅さんと図る
「位を退けられた後、聖上は宮中に幽閉されて
そう記された書状を見るや、齊王は
「司馬倫、不仁の老賊めが。庶族のさらに末流でありながら、吾が
すぐさま
「聖上にどのような過ちがあったというのか。司馬倫は故なく退位を強いただけでなく、さらにその位を
齊王の言葉に対し、董艾が進み出て論じる。
「趙王の悪事はすべて
「親王は
齊王が問うと、孫洵が答える。
「
趙王の罪過を責める檄文を書きあげると、諸王を糾合すべく使者が各地に遣わされる。使者はまず
※
成都王の
▼参軍は各部局の長、司馬は軍事を総括する。衛将は護衛を率いる将帥というほどに解すればよい。
「齊王より檄文が届き、趙王が聖上を廃して天位を簒ったと難じ、これより兵を会して共に叛逆者を討つべしとの意趣である。
盧志が言う。
「大王が義によって反逆者を討とうとなされれば、精勇の士は召さずして自ら参じましょう。官司に命じて豪傑を募る
成都王はその言葉に従い、諸将を郡縣に遣わして兵を募り糧秣を集め、
※
許昌を発って
司馬顒も檄文を見ると長史の
「齊王より檄文が届けられ、孤と兵を合わせて趙王を討たんとのことである。しかし、趙王はすでに位を簒って朝野はこれを畏れておる。京師の将兵は多く、糧秣も積まれて防禦は堅い。やすやすと平定できまい。さらに、趙王からも書状があり、『すみやかに洛陽に入ってともに政事に参与して欲しい。その際には
張方が進み出て言う。
「趙王が大王に朝権を分かつことを許すのであれば、軍勢を率いて洛陽に向かい、趙王を助けて齊王を退ければ、大権は大王の手に委ねられましょう。齊王に従って
「孤も本心では齊王に与したくはない。先に洛陽におった時には、孤が聖上と疎遠であるため、随分と軽んじられたものだ。さらに、『関中は要地であれば、余人に代えるに
長史の李含が進み出て反駁する。
「大王は誤っておられます。趙王が大王に皇太弟を許すと言うのは、叛逆をおこなうにあたって大王に餌を与え、討伐の意を削ごうとするものです。趙王は位を簒った後、長子の
ついに河間王は李含の言葉に従い、張方を大将として呂朗、刁黙を副将に添え、馬瞻、郭偉を
※
▼湘陰は長沙を意味すると考えればよい。
司馬乂は長史の
長沙王はさらに諸王に使者を遣わして書状を送り、期を定めて軍を会し、洛陽に向かって国難を鎮めることを申し出る。齊王は大いに悦んで兵を進め、
▼潁陰は
「早くも援軍が到着するとは、これは大事が成る吉兆である」
人を遣わして新野公の軍勢を寨に入れ、相見の礼を終えると新野公が言う。
「吾が職位は軽く地は狭いものの、王の檄文により些少の人馬を集めて麾下に参じ、ともに逆賊司馬倫を討って朝廷の難を鎮め、聖上を位に
「賢弟の心は日月の光にも及ばぬ忠と称するに足りよう」
齊王はそう言って労うと、さらに諸王の到着を待つ。数日の間に、東海王の
「先に長史の善言を納れずに大計を失ってしまった。聞くところ、諸鎮が軍勢を発して逆賊を討つべく会したという。長沙王もまた書状で出兵を促している。事が成った後、義旗がこちらを指して国難に赴かない罪を鳴らせば、どのように対処すべきか」
「まだ遅くはございません。急ぎ檄を発して出兵するのがよいでしょう。張方たちは先に進んでおります。関中から洛陽への道は遠く賊徒が
李含の言葉を聞いて河間王は喜び、席薳に書状を与えて命じる。
「先に発した張方は滞留して様子を窺っておる。すみやかに軍を進め、機会に遅れぬよう告げよ」
指示を受けた張方は、齊王と合流すべく軍を進める。齊王は成都王に使者を遣わし、期日を定めて三路より一斉に洛陽に攻め向かうと宣言したことであった。
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