第四回 晋は呉主孫皓の書を促し湘東を平らぐ
諸々の州郡に降伏を勧告するも降る者はなく、兵を進めて
建平の
建平の太守は姓を
かつて
対策を上奏したものの、
吾彦は
※
斥候の報に接した吾彦は
「晋は
湘東太守の
▼「湘東郡」は長沙郡東部を
「晋兵どもが多勢を
吾彦もその策に同意し、晋兵を防ぐ計略を定めると、全軍を挙げて出撃した。
※
自ら
それに応じて晋兵が陣営中央を空けると、
その背後に元帥の賈模も姿を現した。
▼「禦敵将軍」、「破敵将軍」の
夏侯駿が鞭を振るい、
「吾が
「吾が呉国の君臣に
吾彦はそう言い返すと、馬を
晋の左翼から破敵将軍の辛冉が大刀を抜きつれ馬を駆って迎え撃つ。吾彦と辛冉は陣頭に刀鎗を交わして馬を馳せ、往来して戦うこと一時(二時間)を過ぎるも勝敗を決する様子がない。
※
晋の右翼、禦敵将軍の李微はそれを見るや、吾彦を挟み討つべく馬を
戦が
その軍旗は湘東太守の
晋兵は前後に敵を受けて軍列の乱れが
夏侯駿が兵士を留めんと大喝するも、一度崩れた軍勢を立て直す術はない。
縢條はさらに進んで陣を崩しにかかり、気を
吾彦はその
夏侯駿も縢條と吾彦を支え切れず、ついに賈模の跟を追って逃げ奔る。呉兵は勝勢に乗じて追い討ち、晋兵は必死で逃げるも
晋軍が三十里(約16.8km)ほど後退して兵を点呼してみれば、この一戦の死傷者は二、三万にも及んだ。
賈模も平地に柵を設けて軍営を置き、翌日に夏侯駿が兵を出して城攻めにかかったものの、吾彦は
賈模と夏侯駿は力攻めでは建平を陥れられぬと悟り、報告を
※
数日後、洛陽にある晋帝が朝会を開いた際、
「東南方面の主将を務める羅尚、賈模の上奏によりますと、
晋帝は深く憂い、百官を集めて対策を講じるよう命じる。そこに
「それらの守将で降伏を
晋帝はその策を容れ、
「廣州と建平の守将が
「
▼「臣」は皇帝に対する臣下が遣う一人称。
晋帝は孫皓の書状を湘東と
※
孫皓の書状を
その書状には、次のように記されていた。
先ごろ、
▼「寡君」は主君が臣下に対して遣う一人称。
ゆえに大晋に命を帰したのである。近頃聞くところ、呉の
その上、戦により落命する者も多く、民の血で土を紅く染めている。
それは、将軍個人にあっては国家への尽忠であっても、寡君の身にあっては大晋への罪過を重ねるに過ぎぬ。かつ、寡君は
▼「卿」は主君が臣下に対して遣う二人称。
この書が到る日、将軍は甲冑を脱いで洛陽に向かい、いよいよその忠心を顕し、願わくは、
吾彦は読み終わると涙を流し、僚属を集めて告げた。
「さきほど主上の手書が届いた。
使者を遣って孫皓の手書を返却し、さらに次のように告げる。
「廣州の陸晏や
賈模は約を
廣州の陸晏も吾彦からの書状を読み、
陸晏を筆頭に、
これにてようやく晋の天下は泰平となったことであった。
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